相場展望10月12日号 バイデン政策: 財政支出1,050兆円と増税450兆円 バイデン・民主党上下院勝利ならGAFA企業分割か(1/2)

2020年10月12日 07:45

小

中

大

印刷

■I.米国株式市場

●1.米株式市況の推移

 1)10/7、NYダウ+530ドル高の28,303ドル
  ・トランプ大統領が航空会社250億ドルや中小企業1,350億ドル支援などの追加経済対策、家計へ1,200ドルの現金給付を実施するように議会に求めたことから、景気を支える政策実現への期待が強まり買いが入った。
  ・前日は米景気回復が遅れるとの懸念から急落したが、その反動もあり買い直しが広がった。

【前回は】相場展望10月8日号 向こう見ずな米大統領に振り回される相場 米国、『中国製造2025』と『ファーウェイ』の締付け強化

 2)10/8、NYダウ+122ドル高の28,425ドル
  ・経済対策期待の買いが続き楽観が広がった、1カ月ぶり高値。
  ・11月大統領選挙で民主党バイデン候補が勝利し、大型財政出動による景気回復を織り込む買いも入ったようだ。

 3)10/9、NYダウ+161ドル高の28,586ドル
  ・追加経済対策への期待から、景気敏感株などの買いが優勢だった。
  ・共和党が経済対策規模を1.8兆ドルに引き上げたため、民主党案の2.2兆ドルに歩み寄る姿勢が前向きだと市場に受け止められた。
  ・NYダウは一時+250ドル高に達したが、伸び悩んだ。共和党上院トップのマコネル院内総務が「大統領選前の合意はできないだろう」との認識が伝わったため、警戒感を誘い積極的な買いが見送られた。

●2.株式相場は、バイデン勝利による超大型財政支出を織り込んだ上昇が始まったか

 1)9/30の第1回大統領候補テレビ討論会を受け、10/1からバイデン関連銘柄の買いが優勢となり、景気敏感株の上昇へと株式市場に影響が出始めている。加えて、トランプ氏の感染が確認された後の世論調査でも、バイデン氏の有利が確認された。

 2)実際、10/1からの業種別騰落率は、鉄鋼・非鉄、自動車・輸送機や素材・化学が堅調な値動きを続けており、期待が高まっている。自動車産業の業績回復が強まると、株価の再評価につながるとみている。

 3)一方、米国の国債が売られ、利回りが上昇している。

●3.バイデン氏の財政支出公約とトランプ氏公約との比較

 1)株式市場では、バイデン増税に対するネガティブな影響懸念より、バイデン大統領誕生で『思い切った景気刺激策が成長を押し上げる』との見方が強まる。

 2)超党派で政策提言を行う非営利団体「責任ある連邦予算委員会(CRFB)」等がまとめた今後10年間(2021~2030年)の財政支出と増税額。

  ・バイデン氏政策
    財政支出:10兆ドル規模(約1,050兆円)(10年)
    (1)医療保険改革    2兆ドル     
    (2)インフラ投資    1兆7,000億ドル 
    (3)幼稚園~高校教育改革   8,000億ドル
    (4)学生ローン・教育補助   8,000億ドル
    (5)製造業向け産業補助金   8,000億ドル
    (6)住宅補助         6,000億ドル
    (7)有給休暇制度の充実    5,000億ドル
    (8)社会保障充実       5,000億ドル
    (9)保育士・介護士補助    5,000億ドル
     など

    増税額:4兆3,000億ドル(約450兆円)(10年)
    (1)法人税率    21%⇒28% 収入1億ドル以上の法人純利益に15%課税
    (2)所得税最高税率 37%⇒39.6%
    (3)キャピタルゲイン税最高税率20%⇒39.6%
    (4)不動産投資関連税制 7,750億ドル課税 不動産売買損失の所得税低減を廃止
    (5)海外子会社収益の最低税率10.5%⇒21%
    (6)富裕層向け課税控除の廃止
    (7)企業の課税控除の廃止

    差引き財政支出増加額 :5兆7,000億ドル(約600兆円)(=借金増加額)
    債務残高のGDP比:現在98%⇒128%(2030年)

   ・トランプ氏政策
    財政支出:4兆7,000億ドル規模(約500兆円)(10年)
    (1)インフラ投資 3兆ドル
    (2)追加減税   1兆7,000億ドル

    増税額:なし

    差引き財政支出増加額:4兆7,000億ドル(約500兆円)(=借金増加額)
    債務残高のGDP比:現在98%⇒ 125%(2030年)

   両氏ともに債務残高の増加が、経済成長に深刻な影響を及ぼし、米経済成長の足かせになる恐れがある。

●4.バイデン政権誕生と上下両院民主党多数なら、GAFAは『企業分割』もあり得る(JBpressより抜粋

 1)米議会反トラスト小委員会のデビッド・シシリーニ委員長(民主党)は10/6、米国の巨大IT(情報技術)企業を対象にした反トラスト法(独占禁止法)調査の報告書公表した。

 2)GAFAとは、グーグル(現アルファベット)、アマゾン、フェイスブック、アップルの4社で、それぞれが市場で独占的な力を享受していると結論付け、反トラスト法の改正や法執行の強化が必要だと報告書で指摘している。事業の分割や小企業買収時の規制強化などを提言した。

 3)今回の報告書は野党・民主党の議員がまとめたもので、法的な拘束力はない。

 4)ロイター通信は、米大統領選で民主党のバイデン候補が勝利し、民主党が上下両院で過半数の議席を獲得した場合、深刻な問題になると報じている。

●5.米大統領選挙候補による第2回テレビ討論会(10/15)は中止を発表

●6.米労働省発表した先週分新規失業保険申請件数は前週比▲0.9万件減の84万件、3月来で最低

 1)しかし、危機前の水準にはまだほど遠く、景気や労働市場の回復には引き続き大規模な金融緩和と財政支援が必要。

●7.米企業の7~9月期決算発表の本格シーズン入り

続いて、「中国株式市場」「日本株式市場」の分析、「注目銘柄」へ

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

記事の先頭に戻る

関連キーワード日経平均NYダウ中国NECデンソー独占禁止法吉野家安川電機良品計画近鉄百貨店

関連記事

広告