業界全体で製造業のDXを推進 富士通、ファナック、NTT Comが新会社設立

2020年10月8日 10:58

印刷

デジタルユーティリティクラウドのイメージを抜粋(画像: 2019年12月富士通発表資料より)

デジタルユーティリティクラウドのイメージを抜粋(画像: 2019年12月富士通発表資料より)[写真拡大]

 製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する新会社「株式会社DUCNET(ディーユーシーネット)」を、富士通、ファナック、NTTコミュニケーションズの3社が設立する。2020年11月の会社設立を予定している。

【こちらも】経産省、「DX銘柄2020」発表 いまさら聞けない「DX」とは

 DUCNETのDX推進ターゲットは、工作機械業界全体。業界全体のデジタル革新を進める先に、機械メーカーや機械ユーザーはもちろん、商社、アプリ開発を担うITベンダーなど、関係各社で創り上げるエコシステムの実現を目指している。製造業のDX推進はここ数年で広がりを見せており、個別には工場間やグループ会社間などでこれまでにも実施事例は多数存在するが、対象領域が異なる形だ。

■新会社設立の背景

 新会社設立は、2019年9月から富士通、ファナック、NTTコミュニケーションズで開発を進めてきた「デジタルユーティリティクラウド」構想の実現に向けた動きのひとつ。3社はこれまで、工作機械業界を切り口とした製造業のデジタル化・共通利用化(ユーティリティ化)を加速させるクラウドサービスの検討を、協業で行ってきた。

 背景には、世界的なインダストリー4.0「考える工場」実現の動きや、Society5.0のビックデータからの価値創出、IoTといった以前からの社会的な要請がある。また、生産性や国際競争力の向上など、単独では難しくなりつつあるビジネス環境の安定化を図る狙いもある。さらに昨今のコロナ禍による製造業の売上縮小などを受け、変化の激しい環境でも生き抜くことができる企業への強化が課題に加わった。

■デジタルユーティリティクラウド構想とは

 「デジタルユーティリティクラウド」は、工場機械の稼働状況などの設備データや、モバイルデバイスなどで収集される作業ログなどの人的データ、マニュアルや仕様書などの静的データをクラウド基盤に集約。集積されたデータをAIで分析し、顧客サービスの向上や業務効率化など、目的に応じて活用する仕組み。業界全体でデータの共有・活用が可能なプラットフォームの構築を目指している。

 新会社DUCNETは、2020年11月から事業開始予定。主要事業は、DX支援プラットフォームのクラウドサービスのほか、保守業務ツールなどの共有化を図るシェアードサービス事業、デジタルビジネス支援やマッチング推進を行うeコマースの3事業だ。

 メインのクラウドサービスは、2021年4月の提供開始を予定。クラウドの機能企画はファナックが担当。クラウドサービスの業務効率化を通じて差別化領域へのリソース集中を可能にし、企業力・ものづくり力の強化へ貢献を目指していく。(記事:三部朗・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事