相場展望9月14日号 米株式は、『買いは弱いが、金融緩和との攻防続く』 中国株式も軟調局面、日本株『2進1退⇒1進1退』へ

2020年9月14日 08:32

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■I.米国株式市場

●1.米株式市況の推移

 1)9/09、NYダウは+439ドル高の27,940ドル
  ・前日まで下げが目立ったハイテク株が買い直され、相場を押し上げた。
  ・上げ幅は一時+700ドル超えたが、引けにかけて、伸び悩んだ。

【前回は】相場展望9月9日号 米ハイテク株の多いナスダック総合指数が▲10%安と『調整局面入り』、NYダウも▲5.5%と大幅下落

 2)9/10、NYダウ▲405ドル安の27,534ドル
  ・上げ幅は一時+200ドル超、ハイテク株への買いが続いたが、午後から再びハイテク株、特に半導体株の下落が目立ち、投資家心理を冷やした。
  ・NYダウ30種構成銘柄の内、上昇はマクドナルド1銘柄だけで、29銘柄が下落。
  ・米上院で追加経済対策法案が否決され、米景気回復が遅れる懸念が強まった。
  ・一方、「健全な調整」の範囲内と静観する投資家の声もある。

 3)9/11、NYダウ+131ドル高の27,665ドル、
  ・割安感がある景気敏感株が上昇し一時300ドル高まで迫り、NYダウを押し上げた。
  ・ハイテク株に反発の持続性が無かったため、アップル、半導体銘柄などが売られた。
  ・世界的に景気の先行き警戒感が強まる中、割高感があるハイテク株には資金が入りにくくなってきた模様。

●2.米株動向の展開は、買いモメンタムは弱いが、金融緩和で『現水準での攻防が続く』と予想

 1)NYダウは9/3~9/8までの3日間の下げ幅が▲1,600ドル安・▲5.5%。
  ・これは6/9~6/11の▲2,444ドル安・▲8.9%と比較すると軽微な下落にある。
  ・ただ、ナスダック総合は、6/9からの下落率は▲7.1%に対して、今回は9/11時点で▲10.1%と、9/9以降からの『調整局面』入りの状態が続いており、要注意。

 2)NYダウとナスダックは下落したが共に、50日移動平均線(50MA)で立ち止まっている。
  ・今後、(1)50MAをサポートラインとして、上昇に転じるか、(2)さらに下値を探るか、という2つのシナリオが考えられる。
  ・過去、50MA近辺で反発しており、売り圧力がパニック的なものにならないという印象もある。
  ・とはいえ、投資家心理は今年最低水準にまで下落している。
  ・現行の金融緩和政策は当面続く見通しであり、依然として金融面からの強力なサポートが得られると思われるので、現水準の攻防がしばらく続くと思われるが、要注意。

●3.米新規失業保険申請件数は前週比横ばいの88.4万件と市場予想85万件を上回った

●4.米・8月消費者物価指数(CPI)は前年比+1.3%と予想(+1.2%)、7月+1.0%を上回った

 1)3月以来では最高。
 2)FRBの目標は平均で+2.0%。

●5.トランプ大統領は9/10、中国・ティックトックの米事業の売却で「期限の延長無い」と明言


■II.中国株式市場

●1.上海総合指数は、9/1高値3,410からは9/10までで▲176安の▲5.1%と調整中

 1)ただし、9/11は+25高と小反発。

●2.中国株は急ピッチで上げていたが、変調か、投資家は一段安を懸念

 1)売買代金は7月の高水準から急減し、セクターも消費者関連銘柄から景気循環株にシフト。

●3.中国が国家備蓄((1)原油(2)戦略金属(3)食料)拡大を計画

 1)背景に、(1)新型コロナ危機 (2)米国ならびにその同盟国との関係悪化、を教訓。

●4.中国8月新車販売台数は政策効果もあり5カ月連続のプラス(NHKニュースより

 1)中国自動車工業協会によると、8月新車販売台数は218.6万台、前年同月比+11.6%増。増加内訳は、乗用車+6%増、トラックなど商用車+41.6%増。

 2)増加の背景は、
  (1)地方政府による新車買換えの際の補助金の支給。
  (2)政府によるインフラ投資の拡大で、商用車の需要が増加

 3)業界団体は、「消費者心理の完全な回復には時間がかかるため、注意が必要だ」という。

●5.米国務省は9/9、中国軍等と関係する中国人に発給した1,000件以上のビザ(査証)を取消

 1)米国土安全保障省(DHS)のウルフ長官代行は、機密性の高い研究の盗用を防ぐためと発表。

 2)米教育機関に在籍する中国人は約36万人で、授業料等の支出は年間140億ドル相当。

 3)米国務省は、中国共産党の軍事推進に関係の無い中国の学生・学者は歓迎すると声明。

●6.韓国のサムスン電子、SKハイニックスは、ファーウェイ向け半導体出荷を9/15から停止へ

 1)米国が8月に強化した、ファーウェイ向けに米国の技術を採用した半導体売却禁止のため。

 2)SKは、2020年前半の売上の40%が中国への輸出であり、日本企業も影響がでる模様。

 3)先行きの懸念材料は、サムスン電子の中国・西安工場、SKハイニックスの中国・無錫工場の動向。

●7.中国・半導体製造会社SMICは、米国政府が制裁を検討との報道で、中国軍と関係ないと発表(東洋経済ONLINEより抜粋

 1)中国の半導体受託製造(ファウンドリ)最大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)に対し米国政府が制裁を検討との報道を受けて、SMICは9/5に緊急声明を発表した。声明は、「SMICの製品は民生向けであり、軍事目的の経営や中国軍との関係は一切無い」。

 2)この報道は、9/4にロイター通信が米国防総省の関係者の話として、「SMICをファーウェイと同様の制裁(事実上の禁輸)に加えるかどうか検討している」と伝えたもの。

 3)制裁となれば、SMICは米国由来の技術が使われた製造装置、ソフトウェア、材料などの供給を絶たれる。つまり、米国の技術抜きには半導体生産ラインは構築できなくなる。SMICの半導体設備は、米アプライドマテリアルズ、米ラムリサーチに依存している。

 4)中国の専門家によると、米国の技術無しには十数年前のプロセス技術の45nm半導体チップの生産ラインでさえ構築できないという。
  ・プロセス技術トップの台湾積体電路製造(TSMC)は、既に5nmの量産を実現。
  ・SMICは3世代遅れの14nmの量産を2019年10~12月期にようやく開始した段階。
  ・そのTSMCは9/15以降、ファーウェイ向けの半導体出荷を停止する予定。

 5)SMICが米国の制裁対象となると、
  (1)ファーウェイは、TSMCに代わる半導体の製造委託先であるSMICを失うと、ファーウェイ自体がさらに困難に追い込まれる。
  (2)SMICそのものの成長が止まる。
  (3)中国国内の多数の半導体設計会社にも打撃が及ぶ。
  (4)習主席が掲げる国家目標『中国製造2025』は半導体ウェートが高く、中国の成長率に大きな影響を及ぼす可能性がでてきた。

●8.中国戦闘機、2日連続で台湾の防空識別圏に40回以上侵入し露骨な挑発、台湾は緊急発進

●9.中国国家鉄路は2020年1~6月期決算で「巨額赤字」、「債務も膨大な額」

 1)中国の国有鉄道会社・中国国家鉄路集団(国鉄集団)は、新型コロナによる利用者▲53.5%減で、補助金を入れても▲955.4億元(約1兆4,620億円)の赤字。

 2)負債総額は2020年6月末で5兆5,900億元(約85兆5,270億円)もあり、今後、続々と償還期限を迎える。加えて、新線の建設(2020年上期だけの投資3,258億元(約4兆9,500億円))の負担で債務がさらに膨れ上がる構図となっている。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移 『2進1退』から『1進1退』へと方向の流れ変わる

 1)9/09、日経平均▲241円安(▲1.04%)の23,032円
  ・前日の米株式市場でアップル、テスラなどハイテク株が大幅に下げた流れを受け、市場心理が悪化して一時▲390円超となったが、日銀のETF買(801億円)で買い戻された。
  ・英製薬大手のアストラゼネカが開発中のコロナワクチンで臨床試験の一時中断が、冷や水を浴びせた。

 2)9/10、日経平均+202円高の23,235円
  ・米ダウ先物の上昇・下落に連動した展開だった。引けにかけダウ先物が持ち直すと、日経平均も強含んだ。
  ・設備投資の底堅さからファナック、世界景気回復期待で海運業の上昇が目立った。

 3)9/11、日経平均+171円高の23,406円
  ・前日の米国株安を受けて売り先行したが、東京都が新型コロナ警戒レベルを最上位から1段階下げ、政府が「GO TO トラベル」に東京都を加える方針を決めたことで、国内景気の持ち直し期待が膨らみ、投資家心理を上向かせた。

●2.衆議院解散報道9/11、選挙関連株が急騰

 1)解散報道は、9/28召集の臨時国会冒頭で衆議院の解散、10/22(10/25説もある)総選挙の可能性が高まったというもの。
 2)選挙銘柄
   3955 イムラ封筒    選挙用封筒
   2168 パソナ      出口・世論調査
   2449 プラッツ     広報活動支援
   3695 GMOリサーチ   ネット世論調査
   4326 インテージ    ネット世論調査
   4708 リライア     電話世論調査

●3.SBIが香港撤退、金融センター機能で地位低下のため

●4.「GO TOトラベル」東京発着の旅行商品が来週から販売見通し


■IV.注目銘柄(株式投資は自己責任でお願いします)

  ・9201 JAL       GO TOトラベルの東京発着開始方向で期待。
  ・9749 富士ソフト    クラウド関連に強い。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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