相場展望9月9日号 米ハイテク株の多いナスダック総合指数が▲10%安と『調整局面入り』、NYダウも▲5.5%と大幅下落

2020年9月9日 07:45

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・米国の中国『切り離し』実現すると、中国成長率大幅下落

■I.米国株式市場

●1.米株式市況の推移

 1)9/7、米レーバーデーで休場。
 2)9/8、NYダウ▲632ドル・▲2.3%、ハイテク売りでナスダック総合▲465・▲4.11%下落。
  ・テスラが▲21%安、SP500に採用されずに失望売り。高値502㌦から▲34.2%安。
  ・ボーイングが、米連邦航空局(FAA)から中型旅客機「787」に製造問題で調査との報道で、売が膨らんだ。

【前回は】相場展望9月7日号 9~10月は潮目の変化に要注意 米ハイテク株急落で、過熱不安が表面化

●2.ナスダック総合指数は▲10.0%下落で『調整局面入り』、半導体株指数も▲11.0%安

 1)NYダウは、9/2の29,100ドル⇒9/8の27,500ドルと高値から▲5.5%減。1カ月ぶりの安値。
 2)NYダウでは、アップル、テスラ、セールスフォースなど主要ハイテク株の売りが続く。また、原油先物(WTI)は9/1に42.76ドル⇒9/8に36.8ドルへ下落するなど、原油安で世界景気不透明感が意識され、素材や金融など景気敏感株の一角にも売りが広がった。
 3)夏場に買われた銘柄を中心に、利益確定売り・持ち高調整の売りが続いた。
 4)ナスダックは調整入りの目安となる▲10%に達し、『調整局面入り』となった。特に、半導体株中心のフィラデルフィア半導体指数が、中国へのさらなる禁輸措置検討との報道で、9/2高値2,369から9/8安値2,108へと▲11.0%下落し、ナスダックの『調整局面入り』を牽引した。

●3.米トランプ大統領は9/7に、米中経済の「切り離し(デカップリング)」に言及

 1)発言内容
  (1)米国を捨てて、中国などで雇用を創出する米企業には関税課税
  (2)中国で事業を行う企業とは米連邦政府契約から除外
  (3)米国で重要製品を生産する企業には『メイド・イン・アメリカ』税控除を導入し、米国に雇用を戻す
  (4)新型コロナのウイルスを世界中に拡散するのを許した中国の責任を問う

●4.米国がデカップリングなら、中国の潜在経済成長率+3.5%、米同盟国も協調なら+1.6%に低下(ブルームバーグ・エコノミクス(BE)が調査分析)

 1)中国の潜在成長率
  (1)現在の米中関係が概ね続く場合の2030年の中国経済成長率は+4.5%。
  (2)米中デカップリングが起きた場合の2030年の中国経済成長率は+3.5%。
  (3)米国が日本・韓国・独・仏など主要同盟国と協調デカップリングしたら、+1.6%。

 2)米国の潜在成長率
  (1)デカップリングしない場合の2030年、1.6%。
  (2)デカップリングする場合の2030年、1.4%。

 3)デカップリング実施の結果
  (1)中国は、国境を越えたアイデアやイノベーションから受け取る利益が大きいため、中国は米国よりもはるかに大きな打撃を受けるとの見通し。
  (2)米国と同盟国が、中国とデカップリングした場合は、中国政府は政策対応で補うことは一層難しくなる。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数はボックス圏の動きで、9/7▲62安、9/8+23

●2.中国の『一帯一路』が、中国自身に降りかかる『債務の罠の逆襲』を引き起こす(時事通信より抜粋)

  1)中国の対外政策は、(1)「一帯一路」構想と、(2)アジアインフラ投資銀行(AIIB)の2つを「双発エンジン」として表裏一体で推進してきた。

  2)ところが、今年の年次総会で、「一帯一路」について、一言の言及もなかった
   ・AIIBは2015年に設立され、第5回年次総会が今年の7/28に開催された。
   ・習近平国家主席に演説で「一帯一路」に一言の言及もなかった要因は、「一帯一路」構想が国際的環境のなかで評価が悪化したことを反映したとみている。

  3)かねてから、アジア、アフリカなどの途上国への巨大インフラ整備は、不透明・野放図な貸付がもたらす『債務の罠』が、国際的批判を広げてきた。

  4)ところが、新型コロナの影響で、途上国側の財務と経済環境が一段と悪化した。そして、各国で事業の破棄・延期・債務減免の声が上がり、トラブルに発展する事例が相次いだ。

  5)追い打ちをかけたのが、対米関係の悪化だ。
   ・米政府は、中国の「一帯一路」構想を、『借金漬け外交』と早くから非難していた。

  6)中国が途上国に仕掛ける『債務の罠』
   ・「一帯一路」の沿線国の対中国債務の規模は、各国のGDPの10%を超え債務の重圧を訴える国々も出てきた。

  7)『債務の罠』の『返り血を浴びる中国』
   ・世界経済が混迷するなか、財政基盤が劣悪な途上国を債務不履行の波が襲っており、中国自身も深刻な返り血を浴びることになる可能性が高まってきた。
   ・中国自身が『債務の罠』のブーラメンに落ち込んでしまう構図が予想される。

●3.中国の8月貿易収支は+589億ドルと市場予想(479億ドル)を上回った

●4.中国石油最大手「ペトロチャイナ」が2020年1~6月決算で純損失▲4,617億円の巨額赤字

 1)中国国内の販売減少と価格下落が響いた。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)9/7、日経平均は▲115円安の23,089円
  ・米国株安の流れを引き継ぎ、ハイテク株を中心に利益確定売りが出て、押し下げた。
  ・米ハイテク株に大規模なデリバティブ(金融派生商品)取引が伝わったソフトバンクGが▲7.15%安で、1銘柄で日経平均を▲97円下げた。

 2)9/8、日経平均は+184円高の23,274円
  ・内閣府9/8発表の、街角景気が4カ月連続で改善し、先行き明るさで不動産・電機高。
  ・菅官房長官の経済対策に対する安心感と、米株先物の上昇が追い風となった。

●2.米KKKは対日投資に7,000億円、コロナ禍で企業再編や変革に投資(時事通信より抜粋)

 1)米大手投資ファンドのコールバック・クラビス・ロバーツ(KKK)は、9/7に投資発表。
  ・新型コロナ感染拡大とデジタル技術による日本社会の変革を背景に、製造業やサービス業の再編が加速すると予測。
  ・中堅・大企業の買収や次世代サービス企業の支援に注力する。

●3.バフェット氏効果続く、日本の商社主導のバリュー買いで日本株に上昇余地

●4.7月経済指標

 1)財務省発表の貿易収支、経常収支黒字額は1兆4,683億円で、前年同月比は▲27%減。
 2)総務省家計調査によると、消費支出▲7.6%(前年同月比)と、再び冷え込んだ。
  ・パック旅行費▲89%減、鐡道運賃▲70%減、外食での飲食代▲54%減。

■IV.注目銘柄(株式投資は自己責任でお願いします)

  ・6954 ファナック  コロナ禍の密対策による人員削減等の推進でFA需要期待。
  ・6506 安川電機   同上
  ・8088 岩谷産業   水素ステーションの展開、液化水素製造。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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