不動産営業マンが不動産投資に取り組まない理由

2020年9月8日 07:57

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■多くの人が抱える疑問

 不動産営業マンから資産運用の提案を受ける場面を想像してもらいたい。「普段は滅多に出ない物件です」「この機会を逃すと後悔するかもしれません」と、営業マンはお決まりの常套句を発する。

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 しかし、多くの人はこのような疑問を抱く。「そんなに良い物件なら営業マン自身が購入すれば良いのでは?」と。

 確かに、不動産を販売することが不動産営業マンの仕事とはいえ、このような疑問を抱く人がいても不思議ではないだろう。実はこの裏側には、不動産投資に取り組みたくても取り組めないという事情がある。

■不動産営業マンが直面する最大の壁

 不動産営業マンが直面する最大の壁は「融資」だ。不動産の価格は数千万円から1億円を超えるものまで様々だが、大半は現金で購入可能な範疇を超えている。そのため、不動産を購入する際には金融機関から融資を受けることになるのだ。

 しかし、融資を受けるためには様々な項目を総合的に厳しく精査されることになる。その中で不動産営業マンという職業の性質上、非常に不安定であるという理由から融資が通りづらい。

■なぜ融資が通りづらいのか

 不動産営業マンが不安定であるとされる理由は、給料体系がインセンティブ重視となっている点だ。不動産を販売した分だけ、その成果がインセンティブとして給料に反映される。つまり、売れた時と売れなかった時での給料差が非常に大きく、固定給の職業と比較すると非常に不安定であると見なされやすい。

 これは、不動産の営業だけではなく、給料の中でインセンティブが大半を占める営業職は全て、大きなハードルになる。不動産営業マンが不動産投資に取り組みたくても取り組めないという事情はこの点が大きく影響している。

■とにかく売るしかない現実

 不動産営業マンが融資を受ける際は、高年収を数年維持し続けるか、物件価格の数割に相当する頭金を入れるのが現実的だ。いずれの条件を満たすためにも、とにかく不動産を販売し、顧客に物件を引き渡さなければいけない。

 それに加え、営業マンは毎月、厳しい営業ノルマを追っていることも考える必要がある。不動産を販売するために様々な売り文句を習得しているし、顧客に希望にそぐわない物件を紹介してくることもあるだろう。

 不動産の営業マンはとにかく売らなければいけない現実に直面している。数少ない顧客を逃したくないため、「ガツガツしている」というイメージを持たれる理由もこの点にあるだろう。顧客に寄り添ってくれる営業マンはそう多くないことを理解しておかなければならない。(記事:大掛翔太・記事一覧を見る

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