NYの視点:米6月JOLT:雇用の堅調な回復を証明

2020年8月11日 08:06

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記事提供元:フィスコ


*08:06JST NYの視点:米6月JOLT:雇用の堅調な回復を証明
米労働省が発表した6月JOLT求人件数は588.9万件と、5月537.1万件から減少予想に反して増加し、予想530万件を上回りパンデミックにより経済封鎖が開始された3月来で最高となった。増加幅は51.8万件で5年ぶり最大。ウイルスが再燃する一方で、経済活動の再開も同時に進み、雇用統計でも示された通り、警戒をよそに7月も雇用は堅調に回復した証拠となった。24カ月連続で求人件数が失業者総数を上回り労働市場のひっ迫を示していたが、パンデミックにより失業者が急増したため4月には失業者数が求人数を1800万人上回った。差は過去最大。その差は6月には1190万人まで縮小した。

6月の採用者数は670万人と、過去最多を記録した5月の720万人から鈍化も過去2番目で最多。採用率(Hiring rate)は4.9%と、5月5.4%から低下も昨年3.8%や2008年の金融危機前の3.8%を上回った。

労働者の雇用市場への自信をあらわすとして特に注目される退職者は260万人と、5月の210万人から増加。退職率(Quits rate)は1.9%と、パンデミック危機前の2月の2.3%以来の高水準に達したことはポジティブサプライズとして歓迎されている。とはいえ、年初の350万人、2.3%には程遠く、労働市場にスラックが依然くすぶっていることは確かである証拠となった。解雇者数は190万人で変わらず。解雇率も1.4%でほぼ変わりなし。ただ、危機前の水準1.2%はまだ上回っている。

今のところ、労働市場は堅調な回復を見せている。一方で、パンデミック危機の影響で多くの小売り業者が破たん、さらなる解雇が予想されるほか、特に直接的な影響を受けた航空会社なども雇用削減計画をすでに発表している。今後の雇用は需要の伸び次第ということのようだ。

■雇用たるみダッシュボード

◎金融危機前に比べ状態が改善 パンデミック: 金融危機水準
7月雇用者数(Nonfirm payrolls):+176.3万人(6月+479.1万人)25.1万人:+16.18万人
6月求人率(Job openings rate):4.1%(5月3.9%、昨年4.5% )  4.4%: 3%
6月採用率(Hiring rate):4.9%(5月5.4%、昨年3.8%)      3.8%
6月解雇率(Layoffs/discharges rate):1.4%(5月1.4%、昨年1.2%)1.2%

◎金融危機前に比べ状態悪化
6月退職率(Quits rate):1.9%(5月1.6%、昨年2.3%)   2.3%: 2.1%
7月失業率(Unemploynent rate):10.2%(6月11.1%)    3.5%:5%
7月広義の失業率(U-6):16.5%(6月18.0%)       6.9%:8.8%
7月労働参加率:61.4%(6月61.5%)          63.4%:66.1%
7月長期失業率(15週以上):48.8%(5月18.7%、2019年34.1%) 19.1%《CS》

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