相場展望7月27日号 米企業関係者が自社株式売却⇒相場天井接近を示唆か 米中の総領事館閉鎖要求は、国交断行寸前のレベル(1/2)

2020年7月27日 08:14

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・米株式相場は続落、米中の緊張激化や景気回復失速で

■I.米国株式市場

●1.米株式市場、NYダウ続落し7/22の27,005ドル⇒7/24の26,469ドルと▲536ドル安

 1)ワクチン開発の進展が数少ない好材料。

【前回は】相場展望7月22日号 トランプ氏挽回で、南シナ海人工島破壊、株式市場暴落も 大統領選挙前の8月中旬~10月末は警戒

 2)失業保険の申請件数増加を嫌気。
  ・景気回復のカギを握る労働市場の悪化を警戒。

 3)ムニューシン米財務長官「次の財政政策に給与税金の減税は含まれない」と発言。
  ・消費支出の増加につながらないため、マイナス材料。

 4)米中対立の激化(総領事館の閉鎖要求)や景気回復が失速する可能性に懸念を強めた。
  ・一方、金スポット価格は金への逃避に拍車をかけ2011年以降初めて1,900ドル突破。

 5)4~6月期決算発表は序盤だが、景気敏感銘柄の下方修正が目立つ。一方、ハイテク銘柄は、インテルが自社生産撤退の可能性で▲16%安が重荷。

●2.米企業関係者が自社株を売却、これは天井接近の示唆か

 1)2020年3月の底値で買っていた企業内部関係者の、今月の『売り』は買いの5倍。この内部関係者の売り・買い比率の5倍は、相場が天井に近いことを示す水準にある。

 2)上昇を続ける米国株は、過去20年間で最も割高の水準に達した。この比率の5倍は、過去30年間でこれ以上に株価が高かったのは、2回しかない。

 3)世界最大の資産運用会社の米ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は7/21、保有する自社株の5%を2,420万ドル(約26億円)で売却。同氏が売却した自社株は2020年に入って計7,440万ドルとなった。

 4)米ユナイテッド・ヘルスのスチーブン・ヘムズリー会長、米モルガン・スタンレーのジェームズ・ゴーマンCEO等も、7月に自社株を売却した。

●3.米政府は7/21、米テキサス州ヒューストンにある中国の総領事館を閉鎖通告 ⇒ 国交の断行以外では、最も強硬な措置

 1)米国務省は、米国がヒューストンの中国領事館に閉鎖を通告したことを明らかにした。理由としては、「米国の知的財産権と民間情報を守るため」とした。米国務省は、7/24・午後16時までの72時間以内にヒューストン総領事館のすべの活動を終了し、施設の閉鎖後に外交人員も撤収させるように要求したという。

 2)ヒューストンは米国の代表的な技術都市で、医学と製薬分野の研究が活発に行われている米航空宇宙局(NASA)のジョンソン宇宙センターもヒューストンにある。

 3)米政府が中国のヒューストン総領事館をターゲットにしたのは、領事館員が登録している主業務と違う問題となる行為に、中国政府が直接的・組織的に介入したという証拠をつかんだ可能性がある。
  ・ステイルウェル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は、ヒューストンの中国総領事館が米国の研究成果等を窃取する「中心地」の役割を果たしてきたとの認識を示した。(米紙ニューヨーク・タイムズの取材)

  ・中国総領事と外交官2人が最近、ヒューストン空港でチャーター便の搭乗エリアまで、中国人旅行者に付き添うために偽身分証明書を使用したとして身柄を拘束された。
 
  ・中国による米国の科学研究成果の窃取の試みが、ここ半年で加速しており、新型コロナウイルスのワクチン開発の研究も標的になっている可能性も指摘。

 4)中国総領事館は閉鎖通告後に機密文書の焼却作業中に火災が発生し、消防車が出動したが中国側は消火活動を拒否した。

 5)中国政府は7/24、対抗措置として中国・四川省の成都の米総領事館閉鎖を要求。
  ・成都閉鎖はチベット情報収集に支障あるが、事前予想の香港や上海の閉鎖よりは軽微、武漢よりは大きな影響があるとみられる。

 6)米法務省は7/21、中国人2人を企業機密窃取などの罪で起訴したと発表。
  ・新型コロナウイルス感染症ワクチン開発に関する情報をはじめ、各種の企業情報を約10年間ハッキングしてきた疑い。
  ・起訴状には、中国人2人が中国の国家安全部(MSS)と連携し、米日英の先端技術企業や製薬会社や政府と、中国にとっての反体制人物(批判家や人権弁護士等)を狙って広範囲なサイバー攻撃を仕掛けて大量の情報を盗み取ったと説明。(米紙ワシントンポスト)

 7)米司法省は7/23、中国軍女性将校ら4人が「研究者」と偽って、中国人民解放軍との
つながりを隠して米国の研究者ビザ(査証)を不正取得したとして逮捕・訴追したと発表。
  ・うち1人は在サンフランシスコ中国総領事館に駆け込んだが、後に逮捕。4容疑者は、米国の科学・技術知識を得る目的で米機関に「入り込む」ことを目的とした中国の取組みに関わっていたとみられる。
  ・米連邦捜査局(FBI)は同様の容疑等で、全米25以上の都市で中国軍との関係が疑われる中国人の調査を行っている。

 8)米国は大統領選を控え、今後さらに強い措置を取るかに焦点が移る。

●4.ポンペオ米国務長官は7/22、訪問先のデンマークで会見

 1)「中国共産党による知的財産の窃取は長きにわたり続いてきた」と述べ、それに中国総領事館が関与していたとの見方を示した。

 2)そのうえで、「米国は中国共産党がどのように行動すべきか明確な期待を表明している。それができなければ、米国の安全保障や経済、雇用を守る措置を取る」と強調した。

●5.トランプ大統領は7/22、ヒューストンの中国総領事館閉鎖に言及し、「他の中国公館閉鎖の可能性もある」と、中国を牽制

●6.ナバロ通商製造業政策局長は7/12、中国のウィーチャットとティックトックの使用禁止を示唆

 1)中国のアプリ利用情報が、中国共産党と中国軍に流れ、米国人の個人情報を盗んで脅迫するのに使われ、事実上の機密と知的財産権を盗んでいる。

 2)最悪は、中国政府がこうした情報を、米国人を監視し追跡するのに使い、米国人を対象にした情報戦に活用することだ。とフォックスニュースに出演して話した。

●7.ポンペオ米国務長官は7/8の記者会見で、(1)ヒマラヤ山脈 (2)ベトナムの排他的水域 (3)尖閣を列挙して中国を批判した

 1)これは米国が、インド太平洋における中国の攻勢、すなわち(1)中印国境紛争(2)南シナ海(3)東シナ海 を一体的に捉えていることを意味している。
 
 2)国務長官声明で、南シナ海に関する中国の主張を完全に『違法』と断じたことは、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所が判決した『違法』と一体化した動きとなっている。

 3)米国務省と国防総省との緊密な連携が窺える。2度にわたって空母ニミッツ、ロナルド・レーガンが南シナ海で演習を実施しており、米国の忍耐が臨界点に近付いていることを示している。

●8.ポンペオ米国長官6/19、米国政権の対中国戦略発言

 1)民主主義国家の米国と、共産主義で指導部が公選されない中国とは、基本的に相容れず、共存できないと結論づけた。

 2)米国は、過去20年間で行わなかったやり方で中国共産党とその侵略に対峙している。
  ・過去の米国は中国の軍隊と軍事力の行使に後ずさりし、中国の外交的強制に退いてきた
  ・トランプ大統領は、それを許すつもりはなく、その点をはっきりさせた。

 3)米中対立を、「文明の究極的な衝突」と位置付ける見通しだ。
  ・そういう見解のもと、中国包囲網の構築を目指す。

●9.米新規失業保険申請件数は前週比+10.9万件増と予想外に増加に転じる

 1)コロナ再燃が影響し、先週の米失業保険申請件数は142万件(予想130万件)。

 2)3月の記録的急増後は低下していたが、初めて増加に転じた。

●10.世界の新型コロナ感染者数が1,500万人・死亡者62万人を突破した

 1)米国(393万人)、ブラジル、インドの3カ国だけで、世界の感染者数のほぼ半分、死亡者の40%余りを占める。

続いて、「中国株式市場」「日本株式市場」の分析、「注目銘柄」へ

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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