相場展望7月9日号 金融バブルが起こすインフレ懸念で株式から金投資へ 景気は新型コロナウイルスの感染拡大次第

2020年7月9日 07:19

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■I.米国株式市場

●1.金融バブルが引き起こす『インフレ懸念』で、世界の超富裕層は『株式⇒金投資』へ

 1)米国の金価格は7/8、1,818ドルと約10年来の高値水準
  ・金価格は、2011年代にピークを付けて以来、下落してきたが、2019年後半から上昇が続いている。
  ・新型コロナ感染拡大の影響から、米国株をはじめとして市況が大きく荒れ、安全資産としての『有事の金』に投資資金が集まっている。
  ・金は伝統的に、インフレに強い資産といわれている。
  ・今の金価格の上昇が、さらに買いが買いを呼ぶ展開になる可能性がある。

【前回は】相場展望7月6日号 米雇用統計で7/2、+450ドル超上昇⇒+92高と失速 雇用統計改善するもコロナ再感染拡大懸念が強まる

 2)株式は基本的に企業業績と連動するもの
  ・今回の株価上昇は、企業の業績が良いから買われて株価上昇するのではなく、むしろFRBなど米欧日の中央銀行がおカネを大量に印刷している(約640兆円)ので、株価が上がっている金融バブル状態ともいえる。
  ・米国ではFRBによる金融の量的緩和が株式相場を支えているが、実体経済は失業率をみると2桁を超え、かなり深刻な状況。
  ・米欧日の中央銀行による超金融緩和政策が企業業績につながるかどうか?結局は、企業業績が好転して失業率が回復しないと、
   (1)実体経済に対して投資家が失望し、株式市場が不安定になる可能性がある。
   (2)企業業績回復につながらないと、超金融緩和策が「ドル安」を誘発し『インフレ』を引き起こす可能性が出てくる。

 3)今の金価格の上昇は、世界の超富裕層が『インフレを懸念して金投資』している模様ともみえる。(ロイター等)

●2.米国株7/6、続伸しダウ+459ドル高、米中景気の回復期待で、ナスダックは連日最高値

 1)中国景気の回復期待を受けて、世界的な株高となり、投資家心理が強気に傾いた。
 2)好調な米経済指標も好感され、ハイテク株を中心に幅広い銘柄に買いが広がった。
 3)だが、NYダウは7/7に▲396ドル安、7/8は+177ドル高と株価の重さが気になる展開。

●3.米ISM非製造業景況指数はパンデミック前の水準を回復も、雇用の伸びが冴えず

 1)6月米供給管理協会(ISM)が発表した非製造業景況指数は57.1と、3カ月ぶりに50を上回り活動が拡大した。経済活動の再開が奏功し、パンデミックで都市封鎖が始まる前の2月来の高水準に回復した。
 2)製造業PMIは49.8と、50の回復にはならなかったが、5月の39.8からは過去最大の上昇
 3)ただ、雇用は43.1と4カ月連続で50を割り込み、依然として活動が縮小している。雇用の伸びが停滞した場合、消費を抑制し経済の回復も遅らせることになる。
 4)結局、FRBが指摘している通り、消費や景気は新型コロナ感染の行方次第となりそうだ。

●4.米国の新型コロナ感染者、300万人を突破、3州で臨時検査所を追加

●5.ゴールドマンサックスが警告、「米大統領選挙結果確定が遅れる可能性に備えよ」

 1)市場が見込む現在の確率      2月後半時点の確率
  バイデン氏の大統領勝利62%     43%
  上院の民主党勝利61%        30%
  下院の民主党勝利85%        61%
 2)バイデン氏が大統領になった場合、増税が予想される。

■II.中国株式市場

●1.中国の上海総合指数は7/6に+5.7%上げ、2018年2月以来の高値となった。

 1)政府系メディアが株高を支持する論説を掲載したことも買いを後押ししたようだ。
 2)これを受けて、アジア・欧州の株式相場が軒並み大幅高となり、米市場にも買いが波及した。

●2.香港国家安全維持法の施行規則を決定、7月7日から適用

 1)令状なしの捜査を一部許可
 2)反体制派の出国制限
  ・パスポート提出、移動の自由を制限
  ・罰則は10万香港ドル(約140万円)以下の罰金と2年以下の禁固刑
 3)ネットアクセス制限
 4)資産凍結
 5)通信傍受や監視が可能

●4.中国軍が異例の3海域で軍事訓練

 1)東シナ海、南シナ海、黄海の3つの海域で同時に訓練を実施するのは異例。
 2)沖縄県尖閣諸島が位置する東シナ海では、船舶に対する立ち入り検査や拿捕(だほ)の訓練も行われ、日本関連の船舶を念頭にしている可能性もある。
 3)米国は空母2隻が南シナ海で軍事演習を行い、活発化する中国軍の動きを牽制している。

●5.中国当局が、新型コロナを巡り習近平氏を批判した精華大学の教授を拘束

 1)習近平氏は2012年に党総書記に就任して以来、メディアに対する統制を一段と強めており最近は国内メディアに対して「党の意向を反映した」報道を求めている。

■III.日本株式市場

●1.日経平均7/6、+459円高と急伸したが、上海総合とNYダウ先物高が牽引した

 1)出来高を伴った上昇でなく、薄商いの中でのアルゴの買いによる上振れの可能性が高い。また、上海総合の急上昇は国営放送局の報道「コロナ後の株式は強気相場」が原因。
 2)ただ、米経済指標の大幅改善が裏付けとなったことで、センチメントが楽観に傾く可能性がある。
 3)Cスイスが買い主役なので注意したい。
 4)上海総合とNY株先物の動向に注目。
   

●2.5月家計支出は、前年同月比▲16.2%で市場予想(▲11.8%)を下回った。(7/7発表)

 1)5月現金給与総額も前年同月比▲2.1%で市場予想(▲1.0%)を下回った。

■IV.注目銘柄(株式投資は自己責任でお願いします)

 ・4661 OLC      新型コロナ後の業績回復に期待。
 ・6981 村田製作所  アップル、5G展開に期待。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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