ディーエムソリュ Research Memo(7):新型コロナウイルス感染拡大はマイナスだけでなくプラスの要因もある

2020年7月3日 15:17

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記事提供元:フィスコ


*15:17JST ディーエムソリュ Research Memo(7):新型コロナウイルス感染拡大はマイナスだけでなくプラスの要因もある
■業績見通し

1. 2021年3月期の業績見通し
2021年3月期の業績予想について、ディーエムソリューションズ<6549>は売上高13,949百万円(前期比3.8%増)、営業利益200百万円(同5.7%減)、経常利益197百万円(同7.1%減)、当期純利益126百万円(前期は102百万円の損失)と増収を見込んでいる。新型コロナウイルスの影響に関して同社は、第1四半期と第2四半期の途中までは非常に厳しい経済環境が続くと想定、第2四半期の半ばにおいて緩やかな回復傾向を示し、第3四半期と第4四半期に正常化するという前提を取っている。

このような環境下、新型コロナウイルスの感染拡大の防止措置に伴い、集客を伴うイベントやセール、セミナーなどの開催が今後も中止になる可能性が高いことから、同社はイベント集客のためのダイレクトメールの送付が大きく減少すると予想、ダイレクトメール事業の大幅な減収を想定している。一方、インターネット事業においては、バーティカルメディアサービスの展開に注力するとともに、新たなサービスの開発とその販売を進めていく考えである。また、そのための戦略的投資も引き続き積極的に実施する方針である。もちろん前提が大きく変わる可能性はあるが、ネット通販ニーズやインターネット閲覧時間の伸長といった「巣ごもり需要」や、ステイホームを狙ったダイレクトメール需要など想定すべきプラス要因も少なくないことから、新型コロナウイルスの功罪は相半ばと思われる。したがって、少なくとも同社予想の利益は確保し、できれば増益に持っていきたいところと弊社では考える。


2つの事業の強みを生かしたソリューションが始まる

2. 中長期成長イメージ
中長期的には「withコロナ」の時代を想定する必要があるが、ワクチンや治療薬が登場すれば、おおむね過去の平時と同様の事業環境に戻ると考えられる。そうなれば、事業内で多少の入り繰りはあったとしても、「ダイレクトメール事業の事業拡大、インターネット事業の飛躍に取り組むとともに、2事業の連携が生む新たなソリューションへの展開を進め、事業規模拡大と企業価値向上を目指す」という同社の方針は大きく変わらないだろう。

設立以来、同社は業容を拡大し売上を順調に増加させてきた。今後もダイレクトメール市場は縮小が続くと予測されるが、ダイレクトメール特有の高い開封率とそれに伴う高い広告効果が期待できる限り、減少が顕著な年賀状や請求書の業務を請け負わない同社にとって、市場規模の極端な縮小は想定する必要はないと考える。また、同社が注力している宅配便など小型貨物の市場は、ネット通販の増勢に伴って引き続き拡大を続けると見られている。インターネット広告市場については高い成長を続けており、今後も同様の成長は期待できるだろう。しかし、新たなサービスが続々開発されては消え、新しい技術を次々取り入れなければ生き残れない、厳しい環境も継続すると考える。

「withコロナ」の時代も同社のダイレクトメール事業は、イベント集客のためのダイレクトメールが伸びずとも、ネット通販の伸びに伴うフルフィルメントセンターの活況や、「セルマーケ」など新サービスによる新たな市場の取込みなどが期待できる。インターネット事業では、強みとなってきたバーティカルメディアが成長をけん引するだろう。そして、ダイレクトメール事業とインターネット事業のシナジーを生かしたサービスもいよいよ始まる。このように、「withコロナ」の時代にも同社は、ダイレクトメール事業の安定成長とインターネット事業の高成長、そして両事業を生かした様々なソリューションの提供によって、成長を続けていくことになると予想する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)《YM》

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