NASA、「ハッブル望遠鏡の母」の名を宇宙望遠鏡に ローマン宇宙望遠鏡

2020年5月25日 19:25

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ローマン宇宙望遠鏡のイメージ。(c) NASA

ローマン宇宙望遠鏡のイメージ。(c) NASA[写真拡大]

 NASAは5月20日、現在開発中の次世代宇宙望遠鏡をナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡(ローマン宇宙望遠鏡)と名付けたと発表した。NASA最初の主任天文学者であるナンシー・グレース・ローマンの名前からとられた。ローマン宇宙望遠鏡は、2020年代半ばに打ち上げられる予定となっており、宇宙の膨張の原因とされるダークエネルギーの調査、太陽系外惑星の探索を行う。

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■ナンシー・グレース・ローマン

 ローマンは1925年5月16日、テネシー州ナッシュビルで生れ、1949年にシカゴ大学で天文学博士号を取得、1959年にNASAに入社した。

 当時は、科学を進歩させることに情熱を持つ女性にとっては、困難な時代だった。しかし彼女は、宇宙の秘密を探求する新しい方法を確立することにこだわりを持っていた。

 このころの天文学者は、地上の望遠鏡に加え、気球、飛行機、ロケットから観測データを取得していたが、光のすべての波長を使用することは出来なかった。多くの波長領域が地球の大気によって遮断されるからである。

 地球の大気に邪魔されないためには、望遠鏡を宇宙に送り出す必要があった。ローマンは宇宙望遠鏡のプロジェクトを牽引し、特にハッブル宇宙望遠鏡の実現は彼女の大きな業績となった。1998年までハッブルの主任科学者であったエドウェイラーは、ローマンを「ハッブル宇宙望遠鏡の母」と呼んでいる。

■ローマン宇宙望遠鏡

 ローマン宇宙望遠鏡は、NASAのハッブル宇宙望遠鏡、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(2021年に打ち上げ予定)の後継となる宇宙望遠鏡だ。

 暗黒エネルギー、太陽系外惑星、赤外線天体物理学等の分野で未解決の問題の調査を行うことを目的に、設計されている。

 ハッブル宇宙望遠鏡の主鏡と同じサイズとなる直径2.4メートルの主鏡を備えるが、その視野は、ハッブル宇宙望遠鏡の100倍もあり、短時間でより広い領域を調査することが出来る。この性能を活かして宇宙の数々の謎を解き明かすことが期待される。(記事:創造情報研究所・記事一覧を見る

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