中国初の火星探査計画「天問1号」、2020年打ち上げへ

2020年4月30日 12:26

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火星。

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 4月24日、中国初の火星探査計画についての発表が、中国国家宇宙局(CNSA)からなされた。実は今から50年前のこの日、つまり1970年4月24日は、中国初の人工衛星である東方洪1が宇宙に打ち上げられた日なのだ。中国は2016年以降、4月24日を宇宙デーに設定している。人工衛星打ち上げ50周年に当たる日にCNSAは、歴史に残る記念すべき発表を行ったわけである。

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 このニュースは日本ではさほど大きく報じられていないが、いまや中国は、超大国アメリカを凌ぐほどの宇宙探査実績を誇る宇宙大国とも言える。人類火星1番乗りを果たすかもしれない最有力候補のひとつとして、目が離せない存在となっている。

 この火星探査ミッションは、Tianwen計画と名付けられ、漢字では「天問」と綴られている。その第1号機なので「天問1号」と名付けられたわけだ。この名前は紀元前4世紀から3世紀(中国における戦国時代)の楚という国の政治家であり詩人でもある、屈原が書いた詩「天問」に由来する。

 CNSAは「天問」と命名した理由として、屈原の詩に綴られている真理と科学を追求し、自然と宇宙へのあくなき探求心を、中国の国家姿勢になぞらえたものだと言明しており、このプロジェクトに対する中国の意気込みを感じさせる。

 「天問1号」は2020年に打ち上げられ、火星を周回して、着陸、探査を完了する計画となっている。実は2020年は各国で火星探査ミッションの打ち上げが計画されている。その理由は、火星は26カ月周期で地球に接近し、今年が最短距離で火星に到達できる絶好のタイミングだからだ。

 2020年は世界で4つの火星探査ミッション(アメリカのMARS2020、欧州・ロシア共同のExoMars、中国の天問、UAEのHope)が動き出すという、人類史上かつてないほどの宇宙探査の世界は活況を呈しているが、宇宙の神様は新型コロナウィルスを地球に放ってそれを妨害しているかのようにも思える。

 今のところどのプロジェクトも打ち上げに向けて、コロナと戦いながら懸命な取り組みが続けられている。また、これも日本人にはほとんど知られていないことだが、UAEの火星探査ミッションであるHopeの打ち上げには、日本のH-IIAロケットが採用されている。しかも打ち上げは日本の種子島で7月に実施される予定なのだ。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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