相場展望3月9日号 新型肺炎が最悪シナリオ『景気後退』を引き起こすと(1/2)

2020年3月9日 06:52

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■I.米国株式市場

●1.米国株式(NYダウ)の推移

 1)米緊急利下げにより、むしろ新型肺炎が世界経済に与える懸念が増したとの認識の方が高まり、NYダウは3/3▲785ドル安、3/4+1,173高、3/5▲969安、3/6▲256安で引け値は25,864ドルに下落した。

【前週は】相場展望3月2日号 やはり、米国株の救世主トランプ&パウエル登場 戻り高に転換し、NYダウ27,000~28,000ドル予想

●2.米企業業績は下方修正に傾く方向

 1)ビザは、新型肺炎の打撃により、収入の伸び▲2.5~▲3.5%下振れも。
 2)マスターカードは、▲2~▲3%下回るとの見通しを明らかにした。
 3)小売り大手のターゲットは通期利益がアナリスト予想を下回った。
 4)マイクロソフト、新型コロナ流行で、1~3月期の業績予測を下方修正。

●3.米が緊急利下げ、下げ幅は▲0.5%

 1)米連邦準備制度理事会(FRB)は3日、臨時の連邦公開市場委員会(FOMC)を緊急開催し、政策金利の下げ幅を▲0.5%の年1.0~1.25%と発表した。
 2)米10年債利回りがFRBの金利引下げを受け、一時0.906%と初の1%割れ。
 3)市場の評価として、「FRBの利下げは失敗。市場に屈した格好で、投資家を不安にさせた。あらゆることが十分に練られていない」という声もある。
  

●4.米FRB報告:「観光客や部品不足、新型ウイルスが米経済に悪影響」

 1)中国の生産停滞によるサプライチェーン混乱で部品や素材不足が生じている。
 2)FRBによる追加利下げが、米国経済への懸念を急速に高めている。

●5.新型肺炎関連

 1)米国の新型ウイルス死者17人、イタリア・英国など欧州で感染拡大
  ・カリフォルニア州、ニューヨーク州が非常事態宣言を出し、一段と感染拡大抑制乗り出す。

 2)米、新型ウイルス対策として83億ドル(8,700億円)の緊急対策法成立。
 3)EUは、新型ウイルスでフランスとイタリアに景気後退リスクを警告
 4)国際通貨基金(IMF)専務理事は、新型コロナが脅威として、世界経済が「より暗い」シナリオに移行したと述べた。ただ、ウイルスの影響は依然として予測困難との見方も示した。
 5)米NYの金融機関は新型ウイルス対策強化
  ・(1)出張制限(2)イベント中止(3)在宅勤務(4)感染地域を訪れると自宅待機など

●6.シティグループは、投資家に対し、当面は投資行為の静観を続けるように警告した

 1)パウエルFRB議長は、「金利▲0.5%の引下げでは、新型ウイルスによる経済リスクに対しては不十分と認めた」。
 2)今の経済データには、まだ新型コロナウイルスの影響は反映されていない。
 3)新型ウイルスが世界的なリセッションを引き起こす恐れがある。そうなれば企業利益は▲25%減益となり、株式相場も同様に下落すると指摘。

●7.モルガン・スタンレーは、米国株「さらに▲11%下落する可能性 新型肺炎の影響で」 

 1)モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)は5日、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、米国株は短期的にさらに▲11%下落する可能性があると発表した。

 2)経済成長率が短期的に▲2%低下し、リスクプレミアムが+2%上昇すると仮定すると、短期的に一段安の余地があると指摘。「米国株は2月19日から3月3日までに既に▲11%下落しているが、さらに▲11%下げる可能性がある」とした。

 3)世界経済が短期的に痛手を被るだけなら、市場が回復する可能性はある。しかし、パンデミック(世界的流行)となれば、長期的な成長軌道の打撃となり、企業収益の悪化がしかねず、その影響は一段と長期に及ぶだろう。

●8.最悪のシナリオ『景気後退』(リセッション)した場合の米SP500指数は大幅下落

 1)ヒトとモノの移動制限が誘う景気後退が懸念され、既に先行指標は「弱気相場」入りを示唆したものが出始まる。加えて、空運やレジャーなどを始め企業業績や景気への懸念が収まる兆しが見えず。

 2)企業利益が▲25%減少(シティ予測)した場合の米SP500指数の予測
  ・現在2020年1株利益予想は174ドルだが、▲25%減となると、⇒ 130.5ドルに低下する。
  ・SP500指数の(1)最高値2月19日の3,386、(2)3月6日引け値は2,972。つまり、3月6日は最高値から▲414安、率で▲12.2%と下落して状況だ。
  ・最悪シナリオのSP500指数の値は下記の通り。
    ケース PER   SP500 最高値からの下落率 さらなる下落率
    (1) 18倍  2,400  ▲30%下落     ▲17.8%下落
    (2) 16倍  2,100  ▲40%下落     ▲27.8%下落
    シティグループは利益減額率を「仮定▲25%」と見ているが、この利益減少率とPER次第で、株価は変動します。
  ・(参考)過去に株価が大きな下げ幅となったケース
    (1)ITバブル崩壊    2000年4月 ▲63.5%
    (2)リーマン・ショック  2007年6月 ▲61.7%
    (3)チャイナ・ショック  2015年6月 ▲29.1%
    (4)VIXショック     2018年1月 ▲15.7%

続いて、「中国株式市場」「日本株式市場」の分析、「注目銘柄」へ

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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