米ニューヨーク州、新型コロナの感染拡大受け非常事態宣言 感染者急増

2020年3月8日 18:09

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 米ニューヨーク州のクオモ知事は7日、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染者数が前日から32人増えて76人となったことを受け、州全域に非常事態宣言を発令した。

 同州で新型コロナウイルスへの感染が初めて確認されたのは1日。イランから帰国した30代の女性で、帰国前に感染した可能性が濃厚とされた。州内ではその後、短期間の間に感染が拡大した。非常事態宣言発令後も感染者数の増加は続いており、同日午後6時(現地時間)の時点で計89件の陽性が確認されている。

 ニューヨーク市に限ると感染者数は11人だが、郊外のウエストチェスター郡では70人の感染が確認され、州内最多となっている。ウエストチェスターには日本人の駐在員やその家族も多く暮らしているが、在ニューヨーク総領事館によると現時点で日本人の感染情報は入っていない。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、米国内では除菌用品や消毒剤などの製品価格の不当な吊り上げも問題となっている。クオモ知事は州内におけるこのような行為への取り締まりの強化を宣言し、不当な価格の引き上げ等を行った業者については販売ライセンスを剥奪する可能性があると警告した。この問題に関して消費者保護センターはネット上に相談フォームを設置し、業者の疑わしい行為を市民が通報できるようにしている。

 また、クオモ知事は旅行代理店や保険会社に対して個人や法人の旅行の中止に伴う補償を呼びかけている。すでに国内外のいくつかの保険会社は、新型コロナウイルス感染拡大を理由として旅行の取りやめを決めた顧客に対し、補償を提供することに同意した。

 中国の武漢から広まった新型コロナウイルスは、世界全域に拡大している。日本のほか韓国やイタリア、イランでの感染拡大が特に危惧されているが、すでに北半球を中心にほかの多くの地域へも広がりが見られる。

 日本政府は当初、横浜港に入港した大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」内での感染防止対策が不十分だったとして各方面から槍玉に挙げられた。感染がアメリカの複数地域やヨーロッパ各国に広がった今、各国政府がどのような対策をとるのか注目が集まる。(記事:万嶋せら・記事一覧を見る

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