楽天やゼンリン、ドローンによる自動配送実験に成功 岩手県で初

2020年2月29日 19:41

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 自動飛行のドローンを使った、過疎地での荷物配送の事業化を進めている岩手県とゼンリン(北九州市戸畑区)、楽天(東京都世田谷区)は27日、同県岩泉町で目視による補助なしでの自動運転飛行検証試験に成功したと発表した。県やゼンリン、楽天などは今後、買い物困難者支援のためサービスの実用化を目指す。

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 岩手県は、買い物困難者の課題解決に向けて事業提案を公募し、ゼンリンの提案を採択。県と岩泉町、ゼンリン、楽天などが共同で携帯電話通信網を使った、ドローンによる自動配送の事業化に取組んでいる。

 岩泉町は北上山地の東に位置し、本州では最も面積の広い町だが、多くの地域は山林で平地が少ない。このため、過疎化や高齢化が進む集落が点在しており、買い物困難者が人口の40%を超えている。また、2016年には台風で大きな被害を受け、孤立する集落が出た。

 このため、県は自動配送ドローンを、買い物困難者の支援のほか災害時の被災者支援に活用しようと考えている。

 実証実験で使われたドローンは、楽天が共同開発したマルチコプター型物流ドローン「天空」。幅約117センチ、高さ約65センチで、重さ約7キロ。コントローラーなどで操作する必要はなく、飛行ルートを設定しておけば、携帯電話通信網を使って自律飛行する。

 また、ゼンリンは3次元の地図上にドローンの飛行予定ルートや実際の飛行ルートなどを表示できるシステムを開発。飛行ルートの設定の妥当性や飛行中の安全性などについて検証する。

 今回の実験では、地元特産の食料品などを、約5キロ離れた地点まで配送。目視による補助などを受けることもなく、無事荷物を届けることができたという。

 実験結果は、県内の市町村や業界団体、大学、通信事業者らでつくる「いわてドローン物流研究会」で検証し、実用化に向けた課題の解決に取組んでいく。

 県は「今後、ドローン物流を商業サービスとして確立するために、受発注の仕組みや運用体制など、総合的なシステム構築も進めていきたい」としている。

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