日プロ Research Memo(1):社会インフラ分野の制御・組込システムに強み

2020年2月10日 15:11

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記事提供元:フィスコ


*15:11JST 日プロ Research Memo(1):社会インフラ分野の制御・組込システムに強み
■要約

1. 独立系のシステム開発・ITサービス企業
日本プロセス<9651>は独立系のシステム開発・ITサービス企業である。電力制御、鉄道運行管理、自動車パワートレイン制御・車載情報、リモートセンシング、防災など、安全・安心が重視される難易度の高い社会インフラ分野の制御システム及び情報家電、建設・医療など社会インフラを支える機器の組込システムの開発で培った高品質・信頼性を強みとしている。さらに、得意とする画像認識・識別技術、近距離通信技術、組込技術などを融合することで、自動運転・ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems=先進運転支援システム)関連、IoT(Internet of Things=モノのインターネット)関連、ネットワーク・セキュリティ関連、AI(Artificial Intelligence=人工知能)関連、ロボティクス関連、クラウド関連、医療関連などの成長分野にも積極展開している。

2. システム開発・ITサービス業界において独自のポジションを確立
報告セグメントは、制御システム、自動車システム、特定情報システム、組込システム、産業・公共システム、ITサービスの6分野としている。構成比で見ると、制御システム、自動車システム、産業・公共システムが主力となっている。また、長年にわたり大手電機メーカーや特定優良顧客と強固な信頼関係を構築していることも特徴であり、システム開発・ITサービス業界において、規模は小粒ながら独自のポジションを確立している。このため受注競合が少なく、顧客からの直接受注(元請け)比率がほぼ100%であることも安定収益につながっている。

3. 2020年5月期第2四半期累計の実績
2020年5月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比11.9%増の3,672百万円、営業利益が14.4%増の342百万円、経常利益が14.2%増の372百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が1.1%増の250百万円と、おおむね計画水準となった。親会社株主に帰属する四半期純利益は前期計上の特別利益が剥落して小幅増益にとどまったが、受注が好調に推移して2桁増収、2桁営業・経常増益となった。自動運転・ADAS関連を中心とする受注の拡大、請負化進展に伴う受注条件の改善、オフショア開発活用による開発リソースの拡大、生産性向上などの効果で、人件費増加など持続的成長に向けた先行投資に伴う費用増加を吸収した。セグメント別では、特に自動車システム、特定情報システム、産業・公共システムが大幅伸長し、組込システムも好調だった。

4. 2020年5月期通期予想
2020年5月期通期の連結業績予想は期初より据え置き、売上高が前期比5.6%増の7,620百万円、営業利益が3.2%増の635百万円、経常利益が3.0%増の685百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が6.2%減の470百万円としている。受注がおおむね計画水準で推移し、各セグメントの利益率はおおむね前期並みの見込みとしている。コスト面では、働き方改革や人材投資への取り組み継続に伴う費用の増加などに加えて、本社及び事業所の移転・拡張などに伴って一時的費用も発生するが、請負化進展と受注条件改善、オフショア開発拡大とプロジェクト管理強化、さらに社員のモチベーション上昇による生産性向上効果などで吸収し、小幅ながら営業・経常増益予想としている。親会社株主に帰属する当期純利益は前期に計上した特別利益が剥落するため減益予想としている。なお下期を保守的な想定としているが、第2四半期累計が順調であり、通期上振れ余地がありそうだ。

同社の連結業績は2016年5月期と2017年5月期に2期連続で減収・営業減益となり一旦縮小した形だが、2018年5月期と2019年5月期は2桁増収、2桁営業・経常増益と拡大した。そして2020年5月期は受注が高水準に推移し、一時的費用を吸収して営業・経常増益予想である。会社予想は保守的な印象が強く、上振れも期待される。新たな成長ステージに入ったと言えそうだ。

また、持続的成長に向けた基本方針として、自動運転・ADAS関連やIoT関連の主力事業化、AI関連やクラウド関連など新分野の開拓、働きやすい環境づくりや人材への投資、T-SES(トータル・ソフトウェア・エンジニアリング・サービス。同社の造語)の継続を推進している。成長分野への取り組みを加速して、中期的に収益拡大・高収益化が期待される。

5. 2020年5月期は連続増配予想
利益配分は安定的な配当の継続と配当性向おおむね50%以上を目標としている。この基本方針に基づいて、2020年5月期の配当予想は前期比1円増配の年間26円としている。連続増配で予想配当性向は53.8%となる。また自己株式取得も積極的に実施している。今後は収益の拡大とともに、自己株式取得を含めて株主還元の充実に努めたいとしている。

Key Points
・独立系のシステム開発・ITサービス企業、社会インフラ分野の制御・組込システムに強み
・2020年5月期は一時的費用を吸収して営業・経常増益予想、上振れ余地あり
・配当性向はおおむね50%以上を目標とし、2020年5月期も連続増配を予想

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)《ST》

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