相場展望2月10日号 金融相場が、脆弱な実体市場を支える株式市況続く(2/3)

2020年2月10日 09:48

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■II.中国株式市場

●1.中国株式市場

 1)中国証券監督管理委員会は春節明けの2月3日、新型肺炎で売り殺到から株式市場を守るため、証券会社・投資信託に対し週内の株売りを禁じた。

 2)それでも、3日の株価は急落し上海総合指数は▲229安(▲7.7%安)の2,746と急落し、2015年以来最大の下落を演じた。

 3)春節明けの2月3日の上海総合指数は下落したが、当局の施策が効果を発揮。

  i.当局の措置
  (1)売りの禁止措置
  (2)中国人民銀行(中央銀行)による18.7兆円の緊急資金供給により安心感が出て、▲7.7%の下落幅で踏み止まった。

  ii.ただ、新型肺炎による実害リスクを考えると、この程度の下げとその後(4日以降)の反発は意味不明(官製相場?)。

●2.新型肺炎拡大は「世界の工場」中国経済だけでなく、世界経済に大きな影響を与える

 1)2002~2003年のSARS(中国・広東省)との違い
  (1)SARSは発熱などの症状が出ているヒトからしかヒトへの伝染はしなかった。    早期に治療用ワクチンが出来た。

  (2)新型肺炎は、死亡率がSARSよりも低いが、罹患者で発熱等しない無症状者からも伝染している。
    治療に有効なワクチンや治療方法が現段階で見つかっていない。なお、新型肺炎による感染者数ならびに死亡者数は、SARSを上回って、さらに拡大中。

    よって、今回の中国・湖北省武漢市発の新型肺炎コロナウイルスの方が手強い。

 2)終息時期によって影響が異なる

  (1)3月末までに目途が立てば、世界の株価は急回復するとの楽観論。

  (2)4月以降なら、世界経済の成長率が3%台前半から1%まで失速して、世界経済に大打撃も想定。

 3)終息の目安としては、米国による「中国からの入国拒否」の解除時期となろう

  (1)米国による「入国拒否」している間は、中国と世界経済の「収縮現象」継続
    ・中国の経済成長率は年率で▲4%減、米国は▲0.4%減と軽微で、中国の方が打撃大きい。

  (2)対中依存度の高い日本、ドイツ、韓国などは米国以上の打撃を受ける。

  (3)特に、6月になっても「終息宣言」が出ない場合は、7月下旬からの東京五輪開催に影響が出て、日本経済が受ける心理的衝撃は突出した規模になりかねない。

 4)経済的打撃を受ける内容

  (1)中国人観光客の急減による観光・運輸業などのインバウンド売上減少。
    ・中国企業の操業停止と消費の抑制により中国経済は縮小。
    ・北京・上海は、農村など市外から戻った人に原則14日間の自宅待機を求めている。大都市の経済を支える地方労働者の職場復帰遅れで企業の活動本格再開の時期が見通せない。
    ・武漢市と同様の人の移動制限などの封鎖措置を取る地方都市は40以上。
    ・北京市では5日時点、飲食店で営業しているのは13%にとどまり、多くの住民が外出を手控えており、個人消費が低迷。

  (2)中国企業の操業休止・稼働率低下により世界的なサプライチェーンへの打撃。

  (3)中国経済の停滞による世界各国の対中輸出の減少。

  (4)中国内では感染忌避による外出者数の減少による消費支出減少。日本も同様の現象が現れている。

●3.新型肺炎を受けて景気支援策を講じる

 1)中国人民銀行は、(1)18.7兆円の緊急資金供給 (2)低利融資枠5兆円を設けた。

 2)中国財務省は、中小零細企業への支援のため付加価値税や法人税・個人所所得税
などの軽減措置を打ち出した。

●4.新型肺炎で世界景気を下押し「成長3%割れの2%台」予想も

 1)米企業の対応事例
   ・スターバックスは中国国内約4,300店舗の半数以上で一時休業。
   ・アパレル大手リーバイ・ストラウスも店舗の約半数を閉めた。
   ・アップルは武漢周辺に部品調達先があるため、生産・販売の一時閉鎖で打撃。

 2)2003年に大流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)による世界経済の影響は年▲0.1%下押し。国際通貨基金(IMF)によると、その後の中国の経済成長で、中国経済が世界に占める比率は2003年の約4.4%から2019年には約16.3%に上昇した。そのため、世界経済の生産・消費の両面で中国の存在感が増大したため、中国の動向に目が離せない。

 3)英金融大手バークレイズは、長期化すれば2020年の中国の成長率を最大▲1.3%
押し下げると試算。世界経済の成長率は現在予想3.3%から2%台に低下する可能性があると警告した。

●5.中国を見限り生産移転する動きが加速 『中国経済の終わりの始まり?』

 1)転機

  (1)米国・中国との追加関税措置による高コスト化

  (2)新型コロナウイルス拡大が生産・消費の低迷という追い打ち

 2)事例

  (1)新型肺炎の前からも米企業は、中国の生産ラインを移転もしくは計画
   ・アップル、ホームデポット、アマゾン、ヒューレットパッカード、デル、グーグル、ハズブロなど。移転先は、台湾、マレーシア、インドネシア、タイ、ベトナムなど。

   ・米国企業で中国に進出した239社では、22.7%が中国への製品輸出中止、19.7%が将来的に中国から転出を決定。

  (2)中国に進出した台湾企業
   ・進出した企業の39%が投資を、29%が生産拠点を中国からベトナムやインドなどに移転計画立案

  (3)中国に進出した欧州企業
   ・中国進出した174社のうち、10%が既に中国への輸出を中止、8%が業務の中国外移転、15%が対中国投資を延期。

  3)感染が拡大し続ければ、中国企業ばかりではなく、中国に進出している海外企業の生産活動にも大きな影響が出るのは不可避。

・続いて、「日本市場」の分析へ

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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