「よろしく」だけで状況から指示内容を理解するAIを開発 三菱電機

2020年1月29日 17:03

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AIが指示内容を理解する仕組みのイメージ(画像:三菱電機の発表資料より)

AIが指示内容を理解する仕組みのイメージ(画像:三菱電機の発表資料より)[写真拡大]

 三菱電機(東京都千代田区)は28日、俳優の名前を挙げて「よろしく」と言っただけで、状況から指示の中身を判断し、テレビ番組を録画したり、録画場面を再生したりするAI技術を開発したと発表した。人が曖昧な指示を出しても、状況に応じて不足している情報を加味して判断する技術で、同社は今後、家電製品や車載機器などに活用していく。

 たとえば朝、母親がテレビに向かって「俳優A、よろしく」と話しかけると、内蔵のAIが、カメラの映像やマイクの音声といった情報から指示をしたのは母だと認識。さらに、母親が「番組X」を好んで見ることや、当日に俳優Aが出演する番組Xが放映されること、母親はこれから出かけるのでテレビは見ないといった情報をもとに、「今日は俳優Aが出演するテレビ番組が放映されるので、番組を録画する必要がある」と指示の内容を推測。指示内容を音声で確認したうえで、録画を実行する。

 また、夜帰宅した母親が「俳優A、よろしく」と話しかけると、状況から「録画した俳優Aが出演する番組Xを再生すべきだ」と判断して番組の再生をはじめるという。

 これまでも、ユーザーの指示に従って機器を操作するAIはあったが、曖昧な指示ではAIが理解できないことがあった。

 また、従来の機器はクラウド上のAIを利用しているが、今回開発されたAIは、多くの情報の中から関連性の高い情報を絞って処理を行うため、演算量やメモリー使用量を削減できる。このため、クラウドを経由せず機器単体で情報を処理。曖昧な指示でも1秒以内で内容を理解し、即時に応答する。

 同社は、全ての機器をより賢くすることを目的に、独自のAI技術「Maisart(マイサート)」を開発。今回の技術開発にはMaisartを使用した。

 今回、開発した技術を「コンパクトな知識処理に基づくHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)制御技術」と名付けた。今後、同社は家電製品のほか、カーナビゲーションなど車載情報機器への活用を進め、2022年以降の商品化を目指す。

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