相場展望1月13日号・「米イラン対立は『攻撃』ではなく、『口撃』の範囲で市場への影響は限定的」だが注意(3/3)

2020年1月14日 13:10

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■III.日本株式市場

●1.海外投資家の短期筋による「イランの地政学問題をイベント化」した日経平均の乱高下

 1)日経平均は1月6~10日で乱高下したものの10日終値は昨年末比では+194円高となった。

 2)外国人の先物買い残と日経平均の動向
   日経平均  外国人の先物動向  事象

   01月06日 ▲451円安  ▲7,880枚売り  米によるイラン司令官爆殺による地政学問題発生。

   01月07日 +370円高  +9,342枚買い  米イラン対立ながら「攻撃」が限定的とみられる。

   01月08日 ▲370円安  ▲3,072枚売り  イランによる米イラク駐留基地への弾道ミサイル反撃。

   01月09日 +535円高  +2,170枚買い  トランプ声明「反撃の明言はなく、軍事行動は望まない」

   01月10日 +110円高  +1,320枚買い(日中のみ)前日の米ダウ+211ドル高の地合いの影響。

 3)1月第1週は、内外短期筋の日替わりドタバタ売買でボラティリティの高い展開が続いた。

  ・1月6日は、CTA系(投資顧問系)のポジション調整の売で冴えない日経平均▲451円安となったが

  ・1月9日はトランプ声明「反撃の明言は無く軍事行動は望まない」を受け大幅高+535円高。海外ヘッジファンドなどの短期筋が株価先物指数の買い戻しを断続的に進めたため、上げ幅は一時+560円を超えた。

  ・今後は外資系のポジション調整売りが出る可能性が高く、上値の重い展開が予想される。

 4)先物残高の推移は、昨年12月19日の買いポジ残337,886枚と、1月9日は同水準の330,696枚買い残。

 その理由は、(1)米国株高期待と(2)米景気回復期待が外資系の高水準の買いポジションをキープしたとみる。よって、1月6~10日間の日経平均株価の乱高下の原因は、イランの地政学問題をイベント化した外人の短期筋の動きとみた。したがって、イベントが陳腐化したら、外国人の先物買い残が元の水準に戻っているという訳だ。

 5)ただ、警戒が必要なのは、相場を先行するといわれるCスイスの買い残が減少基調にあるという点です。

   09月26日  30,420枚買い残
   11月01日  22,632枚
   12月30日  15,164枚
   01月09日  12,950枚

 上記の買い残減少からみると、Cスイスは近い将来の日経平均株価の下落をみているといえる。

●2.米イラン対立の勃発による日経平均の下落背景

 1)2019年後半に日経平均は大きく上昇した。EPS(1株当たり利益)が切り下がる中での株価上昇により、PER(株価収益率)は切り上がったという不安定な状況にあった。

 2)したがって、ひとたびリスクオフのムードが高まれば、売られやすい状況にあったといえよう。

 3)米株式に比べ、日本株の下落率が高いのは、「米イラン対立」というイベントを利用した外国人投資家の短期筋ヘッドファンドによる、(1)アルゴリズム発動 (2)先物の大量の仕掛け的な売り浴びせ が原因と思われる。つまり、今回のイラン騒動は米国株ではなく、日本株が海外短期筋に振り回されて過剰反応したとみる。

 4)ということは、外国短期筋のファンドによる買い戻しによる急伸があるということで、9~10日に起きた。

●3.米イラン緊迫化にも拘わらず、安全資産としての (1)円高 (2)日本国債高 とならなかった

 1)理由として、

(i)中東情勢はリスク要因ではあるが、現時点では、
(1)世界景気の底入れ期待の方が強い 
(2)米欧日の中央銀行の現状維持見通しに大きな影響を与えるものではない。
 との見通しがあること。

(ii)投資家にとって、マイナス金利の日本国債を買い進むこともない。
 との見通しがあるためと考えられる。

 2)つまり、投資家にとって米イラン対立は限定的なのもと、受け止めていると思われる。
 
 (i)現に、イランがイラク駐留の米軍基地に弾道ミサイルを8日に16発発射し12発を基地周辺に撃ち込んだが、基地の中核施設を外した倉庫や格納庫などに着弾し実質的な軍事損害を与えていない。

 (ii)イラクの報復(弾道ミサイル発射)は、むしろ「イランのリスク回避策」とみることができる。

●4.最近の日本株式

 1)海外短期筋による、(1)ドル円 (2)米中株 に連動した仕手相場化によって、株価はファンダメンタルズを無視した乱高下となっている。

 2)一般投資家は蚊帳の外にいる状況が続いている。

●5.決算発表始まる

 1)安川電機(6506)は9日、2019年3~11月の営業利益は中国減速が圧迫し▲6割減で、春節後に期待感。

 2)ファーストリテイリング(9983)は9日、2020年8月期通期営業利益を前年比▲4.9%減の2,450億円と最高益から一転して4期ぶりの営業減益。関係悪化の韓国とデモ続く香港の下振れが影響。

■IV.注目銘柄(株式投資に際しては自己責任でお願いします)

  4442 バルテス      業績好調だが株価上昇は出遅れ。
  4187 大阪有機化学    最先端半導体製造の材料供給。
  3479 ティーケーピー   貸し会議室事業で好調だが株価回復期待。
  6182 ロゼッタ      業績好調だが株価出遅れ。
  2326 デジタルアーツ   業績好調だが株価下落から反転の兆し。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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