日経平均は反発、上値追い鈍いが先高期待も後退せず、IPO活況続く/ランチタイムコメント

2019年12月17日 12:18

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記事提供元:フィスコ


*12:18JST 日経平均は反発、上値追い鈍いが先高期待も後退せず、IPO活況続く
 日経平均は反発。77.96円高の24030.31円(出来高概算6億1000万株)で前場の取引を終えている。

 16日の米株式市場でNYダウは100ドル高と4日続伸し、S&P500指数やナスダック総合指数とともに過去最高値を更新した。米中が通商協議の「第1段階」で合意したことや中国の11月小売売上高、鉱工業生産が市場予想を上回ったことが好感された。全米住宅建設業協会(NAHB)の12月住宅市場指数も20年ぶりの高水準を記録し、世界経済減速への懸念が和らいだ。本日の日経平均はこうした流れを引き継いで138.77円高の24091.12円からスタートし、取引時間中の年初来高値を更新。ただ、利益確定の売りが出て寄り付きを高値に上げ幅を縮めると、24000円近辺でもみ合う展開となった。東証1部の値上がり銘柄は全体の5割弱、対して値下がり銘柄は4割強となっている。

 個別では、売買代金トップのソフトバンクG<9984>やキーエンス<6861>、ファーストリテ<9983>がしっかり。任天堂<7974>やトヨタ自<7203>は小幅高。一部証券会社の投資判断引き上げが観測されたHOYA<7741>は5%超の上昇となった。パーク24<4666>は今期増益見通しが好感されて急伸し、中小型株ではWSCOPE<6619>の活況が続いている。また、MSOL<7033>が大幅続伸で東証1部上昇率トップとなり、ボルテージ<3639>は中国でのアプリ展開への期待からストップ高を付けた。一方、ソニー<6758>、東エレク<8035>、JT<2914>はさえない。構造改革の実施と業績下方修正を発表した電通<4324>が5%の下落となり、金融庁が業務停止命令を検討と報じられたかんぽ生命保険<7181>は4%近い下落。また、新日科学<2395>などが東証1部下落率上位に顔を出した。セクターでは、鉱業、精密機器、医薬品などが上昇率上位。半面、鉄鋼、繊維製品、非鉄金属などが下落率上位だった。

 前日の米主要株価指数が揃って過去最高値を更新し、本日の日経平均も寄り付きで取引時間中の年初来高値を更新した。ただ、寄り付きを高値に伸び悩み。目先の利益を確定する売りが出ており、積極的に上値を追う動きも乏しいとみられる。ここまでの東証1部売買代金はおよそ9700億円とさほど膨らんでいない。個別でも、米半導体関連株の一角が大きく値上がりしたにもかかわらず、東エレクなどは利益確定売りに押される展開となっている。米中通商協議の「第1段階」の合意や目先の経済指標の改善はこれまでの株高のなかである程度織り込んでおり、更なる上値追いの材料とはみなされていないようだ。円相場が1ドル=109円台後半で下げ渋っている点も注目される。とはいえ売りを誘う材料は乏しく、アジア株も総じてしっかり。先高期待の後退までは想定されず、日経平均は24000円台での値固めが続きそうだ。

 新興市場では日経ジャスダック平均が小幅に3日続伸する一方、マザーズ指数が小幅に5日続落して前場を折り返した。サンバイオ<4592>が前日と同様にストップ安水準での売り気配が続いており、マザーズ指数を下押ししている。しかし、本日マザーズ市場へ新規上場したクラウド会計ソフトのフリー<4478>は公開価格を25%上回る初値を付けた。公募・売出しによる吸収金額がSansan<4443>に次ぐ今年2番目の大きさだったことを考慮すると、好調な出足と言えるだろう。初値後も値上がりしており、売買代金は全市場で2位にランクイン。マクアケ<4479>も再び上値を窺う動きを見せており、IPO(新規株式公開)銘柄の活況が続いている。個人投資家の物色意欲はなお旺盛のようだ。(小林大純)《AK》

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