マーケットE Research Memo(1):3つの事業それぞれが成長エンジンとなって、成長が加速するステージに入った

2019年10月17日 15:51

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記事提供元:フィスコ


*15:51JST マーケットE Research Memo(1):3つの事業それぞれが成長エンジンとなって、成長が加速するステージに入った
■要約

マーケットエンタープライズ<3135>はネット型リユースを主軸とした企業。30カテゴリの買取サイトを自社で運営し、月間4万件強の買取依頼を獲得しており、リユース品の買取は全国10拠点のリユースセンターを通じて行われている。販売はインターネットを活用したECを通じて行っており、個人間では直接取引が難しい大型商材なども取り扱っている。近年はメディア事業と通信事業も急速に成長し、基幹事業であるネット型リユース事業、メディア事業、通信事業の3つのエンジンで成長を追求する体制が整った。

1. 3つの事業ポートフォリオが順調に拡大し、大幅増収増益で着地
同社の2019年6月期決算は、売上高8,472百万円(前期比33.8%増)、営業利益452百万円(同368.6%増)と大幅増収増益となった。期中に2度の上方修正を行ったが最終的にそれをさらに上回って着地した。好決算の要因はネット型リユース事業、メディア事業、通信事業がすべて順調に業績を伸ばしたことによる。ネット型リユース事業では農機具・建機・医療機器の戦略分野が伸長し、業界平均を上回る業績成長を遂げた。メディア事業はPV(ページビュー)数の増加に伴い、広告収入が着実に増加した。通信事業では自社オウンドメディアからの送客が好調に推移した結果、獲得回線数を順調に伸ばした。その結果保有回線数は3万回線を突破。ストック収入も期末には1億円/月の大台を突破するに至った。

2. 「リユースを核とした最適化商社」をコンセプトに成長を目指す
同社は自身の目指す企業像を「リユースを核とした最適化商社」としている。これは消費者が、価値観の変化(リユース品への抵抗感の減少や換金ニーズの高まり等)や市場環境の変化(ネット型リユース市場の登場やスマートフォンアプリの登場等)によって「賢い消費」をより強く志向するようになってきていることを踏まえ、そうした「賢い消費者」に対して最適な情報・サービスを提供する存在になることを表している。“商社”と聞くと取扱商品を際限なく広げるイメージもあるが、同社はその点はむしろ絞り込んでいる。ネット型リユース事業の着実な収益基盤強化の傍らメディア事業での効果的な事業買収を実施し、そこに通信事業に関してSIMロック解除義務化や解約違約金引き下げなどの各種政策が追い風となり、3つのエンジンによって成長が加速するステージに入った状況にある。

3. 2020年6月期も2桁の増収増益、過去最高更新が続く見通し
2020年6月期について同社は、売上高10,000百万円(前期比18.0%増)、営業利益600百万円(同32.7%増)を予想している。事業別の内訳は開示されていないが、基本的には2019年6月期にみられた成長が今期も継続することを想定しているもようだ。ネット型リユース事業では前期に事業承継した買取プラットフォーム「おいくら」事業とのシナジー効果の増大が期待される他、メディア事業においては2019年8月に事業譲受した「SIMCHANGE」(格安SIM・スマートフォンに関する総合情報サイト)の貢献(PV数増加、既存メディアや他事業とのシナジー等)が期待される。また、2019年9月からのSIMロック解除義務化や同年10月からの解約違約金上限の引き下げなど携帯キャリアの顧客囲い込み抑制および通信料金引き下げ等の法改正により、中古端末流通量の増加や格安SIM利用者増加などの恩恵は通信事業のみならず3事業すべてが受けるものとみられる。こうした良好な事業環境に照らして考えると、今期の業績計画が達成される可能性は十分に高いと弊社ではみている。

■Key Points
・ネット型リユース事業の潜在市場規模は4.5兆円超と成長余地は極めて高い
・メディア事業はネット型リユース事業・通信事業とのシナジー効果が注目点
・通信事業は保有回線の積み上がりでストック収入が大幅に増加
・2020年6月期も2桁の増収増益、過去最高更新が続く見通し

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)《SF》

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