有罪監督がヴェネチア映画祭金獅子賞を逃した理由とは?

2019年9月10日 09:26

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記事提供元:ムビコレ

●史上初の快挙、アメコミ作品が金獅子賞! 

第76回ヴェネチア国際映画祭が7日(現地時間)に閉幕、コンペティション部門でホアキン・フェニックス主演の『ジョーカー』(10月4日公開)が最高賞の金獅子賞に輝いた。写真:『J’accuse(原題)』で銀獅子賞(審査員大賞)を受賞したロマン・ポランスキー監督

●史上初の快挙、アメコミ作品が金獅子賞! 第76回ヴェネチア国際映画祭が7日(現地時間)に閉幕、コンペティション部門でホアキン・フェニックス主演の『ジョーカー』(10月4日公開)が最高賞の金獅子賞に輝いた。写真:『J’accuse(原題)』で銀獅子賞(審査員大賞)を受賞したロマン・ポランスキー監督[写真拡大]

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●史上初の快挙、アメコミ作品が金獅子賞!

 第76回ヴェネチア国際映画祭が7日(現地時間)に閉幕、コンペティション部門でホアキン・フェニックス主演の『ジョーカー』(10月4日公開)が最高賞の金獅子賞に輝いた。

 ・性的虐待で窮地に立たされる2大巨匠

 「バットマン」シリーズの悪役ジョーカーを主人公にした『ジョーカー』は『ハングオーバー!』シリーズなどのトッド・フィリップス監督が、ピエロのようなメイクをほどこした狂気の男のバックストーリーを描いた力作で、映画祭の上映後から大絶賛の評が続出、金獅子賞の大本命だった。コミックブックを原作にした作品がカンヌ、ベルリン、ヴェネチアの三大映画祭で最高賞に輝く史上初の快挙となった。

 審査員大賞である銀獅子賞に輝いたのは、ロマン・ポランスキーが19世紀フランスで起きたドレフュス事件をテーマにした『J’accuse(原題)』。今回の審査員長でアルゼンチン出身のルクレチア・マルテルは映画祭開幕当初の記者会見で、かつて性的暴行の罪で有罪になっているポランスキーの監督作がコンペに選出されたこと自体は支持するが、作り手と作品を切り離して考えることはできないとして、『J’accuse』のプレミア上映への欠席を宣言していた。だが、先入観は持たずに審査に当たることも表明、批評家たちによる星取表でも『ジョーカー』と高評価を二分していた同作の受賞が、マルテルの姿勢を裏づけることとなった。

 監督賞に当たる銀獅子賞を受賞したのはスウェーデンのロイ・アンダーソン監督(「About Endlessness」英題)。2014年の『さよなら、人類』ですでに第71回ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞している映画祭の常連監督だ。

 女優賞のアリアーヌ・アスカリッドはフランス出身。夫のロベール・ゲディギャン監督がメガホンを取り、マルセイユを舞台にした家族のドラマ『Gloria Mundi』で受賞した。男優賞は地元イタリアのルカ・マリネッリが、アメリカの作家ジャック・ロンドンの自伝的同名小説をイタリアに舞台を置き換えて映画化『Martin Eden(原題)』で受賞した。

 最優秀脚本賞は1960年代の香港を舞台にしたアニメーション『No.7 Cherry Lane(原題)』。シルヴィア・チャンやヴィッキー・チャオが声の出演をした本作の監督でもある楊凡が脚本を手がけた。

 日仏合作でカトリーヌ・ドヌーヴやジュリエット・ビノシュを主演に迎え、コンペティション部門に参加した是枝裕和監督の『真実』は残念ながら受賞は叶わなかった。

 このところ、昨年の『ROMA』、一昨年の『シェイプ・オブ・ウォーター』と、ヴェネチア映画祭で金獅子賞に輝いた作品は翌年のアカデミー賞で複数賞を受賞していることから、『ジョーカー』が今季の映画賞レースの注目作となることは確実とみられる。

 主な受賞結果は以下の通り。

 金獅子賞:『ジョーカー』トッド・フィリップス監督
銀獅子賞(審査員大賞):『J’accuse(原題)』ロマン・ポランスキー監督
銀獅子賞:ロイ・アンダーソン監督(『About Endlessness(原題)』)
最優秀女優賞:アリアーヌ・アスカリッド(『Gloria Mundi(原題)』)
最優秀男優賞:ルカ・マリネッリ(『Martin Eden(原題)』)
最優秀脚本賞:楊凡(ヤン・ファン)(『No.7 Cherry Lane(英題)』)
審査員特別賞『The Mafia Is No Longer What It Used to Be(原題)』(フランコ・マレスコ監督)
マルチェル・マストロヤンニ若手俳優賞:トビー・ウォレス(『Babyteeth(原題)』)

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