インテリックス Research Memo(8):リノヴェックスマンション販売は、地方・首都圏ともに増加に転じる見通し

2019年8月21日 15:38

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記事提供元:フィスコ


*15:38JST インテリックス Research Memo(8):リノヴェックスマンション販売は、地方・首都圏ともに増加に転じる見通し
■インテリックス<8940>の今後の見通し

2. 事業別売上高見通し
(1) リノヴェックスマンション事業(物件販売)
リノヴェックスマンション事業の売上高は前期比12.5%増の31,680百万円、販売件数で同13.7%増の1,350件を計画している。前期後半から仕入件数が増加基調に転じており、地域別では首都圏で前期比9.4%増の629件、地方店で同17.8%増の721件といずれも増加に転じる見通し。平均販売価格は地方の構成比が上昇するため同1.3%減の2,340万円と若干低下するものの、売上総利益率は採算重視の仕入・販売を継続することで12.7%と前期実績の12.8%とほぼ同水準で推移する見込みだ。

首都圏については、ここ数年、参入企業の増加や市況の上昇が続いたことによって条件にかなう物件が少なくなり、慎重な仕入姿勢を継続してきたことがここ数年の販売件数減少要因となっていたが、直近の動きとしては、一部で市況のピークアウト感が出るなかで、手持在庫が積み上がった競合他社の仕入意欲が鈍り始めており、仕入環境が改善してきたこと、また、新たな仕入施策に取り組むことによって仕入件数を増やし、販売増につなげていく計画となっている。一方、地方の需要は堅調で、各営業拠点ともに営業体制の強化を図ることで仕入・販売件数を伸ばしていく方針となっている。

(2) その他不動産事業(物件販売)
その他不動産事業の売上高は前期比16.1%増の7,110百万円となる見通し。このうち、「アセットシェアリング」シリーズで同49.3%増の2,400百万円、その他不動産物件で同4.2%増の4,710百万円となる。「アセットシェアリング」シリーズに関しては、「アセットシェアリング博多」で約6億円、2020年初めに開業予定のホテル(東京・台東区)で約18億円を計画している。同ホテルについては半分を販売し、残り半分は2021年5月期以降に販売する予定となっている。分配予定利回り※は概ね3%台で設定する見込みだ。

※分配予定利回りとは、年間賃料収入から投資コスト(管理収入等)を差し引いた手取り分配金の物件価格に対する割合。


また、京都で推進している「京町家再生プロジェクト」に関しては、前期末で保有物件が約20棟まで増加している。リノベーション後に自社で一定期間運用し利回りが確定してから、複数棟をパッケージ化して販売していく予定にしている。また一部は、後述する新規事業として開始するクラウドファンディングにより投資対象とすることも検討している。同プロジェクトに関しては、2018年12月に業務提携を発表した京阪電鉄不動産(株)とも協業しながら拡大していく方針となっている。京阪電鉄不動産が持つ情報ルートを活用して仕入物件を増やしていくだけでなく、共同出資による物件取得や京阪電鉄不動産を通じた販売等も進めていく。京町家は訪日外国人客にも人気が高く、外国人向け旅行サイトなどを通じた集客などにより稼働率を高めている。京町家のストックは京都市内に4万棟以上あると言われており、行政も国際観光都市である京都の伝統的な「京町家」を残し、街並みの景観を保存していきたい意向を持っていることから、今後の売上拡大が期待される。

アセットシェアリング以外の不動産販売については、川崎の新築分譲マンション「リシャール川崎 THE WEST」(2019年4月竣工)や横浜の投資用新築マンション等の販売を計画している。

(3) 賃貸収入及びその他収入
賃貸収入については、前期比6.8%増の1,105百万円となる見通し。リースバック事業で月20件を目標に物件取得を進め、保有物件の積み上がりによる賃貸収入の増加を見込んでいる。営業施策としては、プロモーション強化(テレビCMの放映)により同社サービス「安住売却<あんばい>」の認知度を高め、全国主要都市へのエリアへの展開を進めていくこと、また、大手不動産仲介会社等との連携強化を進め仕入ルートを拡げていく。リースバック事業の損益についてはまだ損失が残る見通しだが、2021年5月期以降は、保有物件の積み上げによる賃料収入の増加のほか、2年間の定期借家契約を終えて売却物件が増え始めることが予想されるため、黒字転換する可能性が高いと弊社では見ている。リースバック事業については、中長期にリノヴェックスマンション事業における仕入ルートの1つになると考えられ、同社では積極的に事業を拡大していく方針となっている。

その他収入は前期比37.6%増の2,285百万円となる見通し。このうち、リノベーション内装工事請負事業は、同業他社からの受注増に加えて個人向けの受注増加により前期比24.4%増の1,400百万円を見込んでいる。その他では、「モンタン博多」のホテル運営収益や「アセットシェアリング」シリーズのプロパティマネジメント収入、リースバック物件の取得手数料収入等も増加する。なお、リノベーション内装工事については平均売上単価で7百万円程度となっており、リノヴェックスマンション事業における平均工事費3百万円強に比べると、より大規模なリノベーション案件が多い傾向にある。

(4) クラウドファンディング事業
同社は「不動産における中古流通市場の活性化」をさらに推進すべく、不動産に「ファイナンス×IT」を活用した新規事業として、クラウドファンディング事業を新たに開始することを発表した。ファンド組成を行う子会社として、2019年5月に(株)Intellex Fundingも新設した。今上期中にプラットフォームとなる「X-Crowd」をリリースし、不動産特定共同事業法の匿名組合出資型ファンドとして幅広い投資家層に向け、募集を開始する(10万円から投資可能)。調達した金額は物件取得のために要した借入金の返済に充当するため、売上高として計上されるわけではないが、資金調達手段が増えることにより仕入力が従来よりも一段と強化され、積極的な仕入活動を行うことで事業規模を拡大していくことが可能となる。また、将来的には「X-Crowd」を外部企業との提携を前提としたプラットフォームに進化させ、プラットフォーマーとして手数料収入を獲得していくことも視野に入れている。

なお、同社は自社でサービスを開始する前に試験的に(株)クラウドポートが運営する貸付ファンドのオンラインプラットフォーム「Funds」で募集を実施した。第1号ファンド(1億円)として、同社のリースバック商品「安住売却(あんばい)」の募集を行ったところ、開始後39秒で1億円の募集が完了(339名が出資)したと言う。また、第2号ファンド(2.4憶円)についても即日完売した。利回りは3%台の設定としており、不動産投資に関する需要の大きさが確認されている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)《SF》

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