ゴム相場を動かす要因とは~もっと知りたい商品先物取引

2019年7月17日 14:11

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記事提供元:フィスコ


*14:11JST ゴム相場を動かす要因とは~もっと知りたい商品先物取引
みなさんこんにちは!フィスコマーケットレポーターの高井ひろえです。今回のコラムではゴム市場を見る上でのポイントをお伝えします。

■天然ゴムはどのように作られるのか?
そもそも天然ゴムはどのようにして作られるのでしょうか?ゴムの原液は、ゴム樹を傷つけることででてくる樹液です。この原液を加工することで、自動車タイヤなどの産業用素材を生み出すことができます。

■天然ゴムの価格を左右する要因は天候と自動車の売れ行き
天然ゴムの原料は食べられないとはいえ農作物です。そのため供給が産地の天候や季節的な周期に大きく影響されます。一方で需要は世界経済に左右されます。中でも天然ゴム用途の大半は自動車のタイヤなので、ゴム需要は自動車の売れ行きがものをいうのです。

■6月までゴム価格が高騰した背景は落葉期
東京商品取引所(TOCOM)の先物市場でゴムの価格は、4-6月にかけてじわじわと上昇しました。天然ゴムの最大手生産国はタイですが、同国でゴムの生産が減少したことが理由のひとつです。この背景には、3-5月にゴムの樹が落葉期に入ってしまうことがあります。落葉期にはゴムの原料となる樹液が出にくくなってしまうのです。

■天候の乾燥も供給に影響
ゴム価格高騰の理由は他にもあります。それは産地の天候が不順で全体的に乾燥してしまったことです。この影響でゴムの生産は減少してしまったのです。供給が減ると天然ゴムの輸出業者(原料を買い取り、工場でゴムを作った上で輸出する業者)は原料が足りなくなってしまい、船積みの契約が履行できなくなってしまいます。そのため原料の争奪戦が起き、価格が上昇したとみられます。

■「エルニーニョ現象」による大干ばつ
生産地を乾燥させる原因となっているのが、「エルニーニョ現象」です。気象情報を見ていると、この言葉はよく目につくように思います。同現象を簡単に説明します。通常は太平洋の赤道付近で温められた海水が貿易風と呼ばれる東風によって太平洋の西側に吹き寄せられ海水の循環を促しますが、東風が弱い状態が続くと太平洋赤道域の中部から東部では海面水温が平常時よりも高くなってしまうのです。まさにこの影響でゴムの生産地が乾燥してしまい、結果ゴム価格が変動しているのです。世界第6位の天然ゴム生産国であるインドでも大干ばつが起きました。ニューデリーでは過去最高の気温となる48度を記録したとのことです。人知を超えた自然に影響を受けて変動する天然ゴムの価格に興味がつきません。

フィスコマーケットレポーター 高井ひろえ《HT》

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