京写は売り一巡して反発期待、20年3月期は下期需要回復で通期横ばい予想

2019年6月3日 09:13

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 京写<6837>(JQ)はプリント配線板の大手メーカーである。自動車ヘッドランプ関連やLED照明関連が拡大基調である。19年3月期は第4四半期の受注急減で減益だった。20年3月期も上期が大幅減益だが、下期の需要回復を見込み、通期で横ばい予想としている。株価は決算発表を機にモミ合い下放れの形となったが、その後は売り一巡感を強めている。低PBRも見直して反発を期待したい。

■プリント配線板の大手

 プリント配線板の大手メーカーである。世界最大の生産能力を誇る片面プリント配線板、および両面プリント配線板を柱として、実装治具関連事業も展開している。

 プリント配線板は防塵対策基板、高熱伝導・放熱基板、ファイン回路片面基板などに技術的な強みを持ち、電子部品の急速な小型化に対応した業界初のスクリーン印刷法による0603チップ部品対応片面配線板の受注拡大が期待されている。

 19年3月期の製品別売上高構成比は片面配線板46%、両面配線板40%、その他(実装治具関連)14%、製品用途別売上高構成比は自動車関連32%、家電製品26%、事務器10%、映像関連9%、電子部品・電子機器8%、アミューズメント関連1%、その他13%、地域別売上高構成比は日本48%、中国32%、東南アジア16%、北米3%、その他2%だった。

 収益面では自動車や家電などの生産動向の影響を受けやすいが、幅広い用途と顧客層(国内1000口座、海外300口座)を獲得し、自動車ヘッドランプ関連やLED照明関連の市場が拡大している。

 生産は国内、中国、インドネシアに拠点展開している。18年5月には中国で両面配線板および多層配線板の生産を委託しているサンティス香港、およびその子会社のサンティス南沙と資本・業務提携した。19年1月には両面配線板の新たな生産拠点としてベトナムに製造子会社を設立(20年4月稼働予定)した。

■20年3月期下期需要回復で通期横ばい予想

 19年3月期連結業績は、売上高が18年3月期比1.0%減の210億35百万円、営業利益が13.9%減の4億98百万円、経常利益が23.4%減の4億71百万円、純利益が37.0%減の2億93百万円だった。配当は18年3月期と同額の年間8円(期末一括)とした。配当性向は39.1%だった。

 国内需要は概ね堅調に推移し、主材料(銅張積層板)価格高騰に対する販売価格是正も進展したが、第4四半期に取引先の在庫調整の影響で、特に中国やインドネシアにおいて受注が急減し、外注費の増加も影響して減益だった。製品別売上高は片面板が3.8%減の96億20百万円、両面板が0.1%減の83億75百万円、その他(実装治具関連)が6.2%増の30億40百万円だった。

 20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比2.2%増の215億円、営業利益が0.2%増の5億円、経常利益が1.9%増の4億80百万円、純利益が2.2%増の3億円としている。配当予想は2円減配の年間6円(期末一括)で、予想配当性向は28.7%となる。

 上期は米中貿易摩擦影響などで受注を保守的に見込んで5.1%減収、49.0%営業減益予想だが、下期の需要回復を見込み、新製品販売強化や業務効率化も寄与して通期横ばい予想としている。収益改善を期待したい。

■24年3月期営業利益15億円目指す

 19年4月に新中期経営計画(20年3月期~24年3月期)を策定した。目標数値は24年3月期売上高320億円、営業利益15億円、営業利益率4.7%、ROE10%、配当性向25%以上、製品別売上高は片面配線板145億円(独自技術を活用した金属基盤46億円含む)、両面配線板125億円、新製品15億円、実装関連10億円、拠点別売上高(連結調整前)は日本140億円、中国145億円、インドネシア25億円、ベトナム(20年4月稼働予定)50億円としている。

 6つの重点戦略として、グローバル供給体制、戦略的ネットワークによる競争優位獲得、IT化・自動化によるコスト競争力強化、独自印刷技術を活用した新製品・新技術による差別化・シェア拡大、成長実現に向けたキャッシュ・フロー経営、人財戦略を推進する。

 グローバル供給体制は、優位性のある片面配線板や印刷技術の提案、ベトナムにおける両面配線板生産体制の確立、営業拠点の再編・最適化、メキシコEMSやアセアンEMSへの治具販売強化などを推進する。戦略的ネットワークによる競争優位獲得は、主要材料メーカー・EMS・商社・OEM協力先・同業との戦略的業務提携・パートナーシップ構築による製品開発や販路拡大、産学官連携による共同研究などを推進する。

 IT化・自動化によるコスト競争力強化は、生産地・生産方式の最適化、新潟工場の能力アップと京都工場の少量多品種化、AIスマート工場化など省人化・自動化投資を継続的に推進する。独自印刷技術を活用した新製品・新技術による差別化・シェア拡大は、両面から片面への基板低層化提案、0603実装部品対応基板など電子部品業界における微細化ニーズへの対応、金属基盤やストレッチャブル基板の量産などを推進する。

 成長実現に向けたキャッシュ・フロー経営は、成長事業への優先投資と早期収益化による投資回収、自己資本の充実、有利子負債の適正化、積極的な株主還元などを推進する。人財戦略は、グローバルマネジメント人材の育成、グループCSR体制の構築、BCP・BCMのグローバル展開、職場環境の向上、ITやIoT活用による業務効率化などを推進する。

 19年1月には業界初のスクリーン印刷法による0603チップ部品対応片面配線板を発表している。新製品拡販も寄与して収益拡大が期待される。

■株価は売り一巡

 株価は決算発表を機にモミ合い下放れの形となったが、その後は売り一巡感を強めている。反発を期待したい。5月31日の終値は293円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS20円94銭で算出)は約14倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間6円で算出)は約2.0%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS471円18銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約43億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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