TKP Research Memo(6):2019年2月期も20%を超える増収及び営業増益を実現

2019年5月24日 15:06

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記事提供元:フィスコ


*15:06JST TKP Research Memo(6):2019年2月期も20%を超える増収及び営業増益を実現
■決算概要

1. 2019年2月期決算の概要
ティーケーピー<3479>の2019年2月期の連結業績は、売上高が前期比23.8%増の35,523百万円、営業利益が同24.3%増の4,289百万円、経常利益が同26.6%増の4,053百万円と期初予想を上回る大幅な増収及び営業(経常)増益を実現し、売上高、営業(経常)利益ともに過去最高を更新した。ただ、親会社株主に帰属する当期純利益については、第2四半期における投資有価証券評価損※の計上により同8.6%減の1,893百万円と減益となっている。

※大塚家具との資本業務提携(2017年11月付)に伴って取得した株式の評価替え(時価との差額を認識)を行ったことが理由である。ただ、業務提携(店舗スペースの有効活用等)自体は期待どおりの成果を上げている上、これ以上の評価損が発生するリスクも限定的と捉えることができる。


高品質な貸会議室や宴会場の需要が増加するなかで、高グレード会議室(商業施設内を含む)を軸とした積極出店が奏功するとともに、インバウンド旅行客や宿泊型研修の増加を背景としたホテル事業の伸長、周辺サービスの取り込みによる単価向上などが増収に寄与した。特に、営業人員の増強が稼働率の向上にも貢献しており、これまでの先行投資が実を結んできたと言える。また、2017年9月に子会社化したメジャースの連結効果(6ヶ月分)も上乗せ要因となっている。

グレード別の内訳では、高グレード会議室(GCP)の伸びが著しいが、宿泊・研修施設も大きく拡大。また、サービス別では、主力の「会議室料」に加えて、「オプション」や「宿泊」といった周辺サービスの伸びも大きく、その結果、「会議室料」の構成比率(依存度)は49.6%(通年)にまで低下し、目標としてきた50%を切る水準を実現することができた。

利益面では、積極出店や大型ホテルの開業※にかかる費用、事業拡大に向けた人員増強に伴う人件費等により先行費用が増加したものの、単価向上(高付加価値化)や高稼働により吸収し、営業(経常)増益を実現した。

※同社では、会議室同様、大型宿泊施設の開業費用についても一括費用処理しており、宿泊施設開業のタイミングによって、一時的に期間損益が振れる(費用が膨らむ)ところに注意が必要である。


財務面では、新規拠点開設に伴う「建物及び構築物」や「敷金及び保証金」の増加、ホテル開発の進行※に伴う有形固定資産の増加等により総資産は前期末比47.9%増の51,066百万円に大きく拡大。一方、自己資本は内部留保の積み増しにより同24.3%増の10,699百万円となった結果、自己資本比率は21.0%(前期末は24.9%)に低下した。一方、2019年2月期末時点の手元流動性(現金及び預金)は同109.7%増の11,967百万円に大きく積み上がっており、当面の財務の安全性に懸念はないが、日本リージャス買収に伴う財務への影響については注意する必要がある。

※2019年2月期はアパホテル2拠点(京急川崎駅前、仙台駅北)がオープンしたほか、3拠点が建設中となっている。


2. 四半期業績の推移
四半期業績の推移で見ても、2019年2月期に入ってから高い業績水準が続いており、2019年2月期第4四半期についても、売上高が前年同期比19.9%増の8,861百万円、営業利益が同95.6%増の795百万円と好調に推移している。特に、利益面での伸びが大きいのは、前述のとおり、高付加価値化や稼働率の向上が進展していることが理由であり、これまでの仕込みが収穫期を迎えつつあると評価できる。この傾向は2020年2月期に入ってからも続くものと捉えて良いだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)《YM》

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