国内株式市場見通し:決算と日米交渉睨みで強含む展開か

2019年4月13日 15:06

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記事提供元:フィスコ


*15:06JST 国内株式市場見通し:決算と日米交渉睨みで強含む展開か
■日経平均は年初来高値更新

前週の日経平均は上昇した。週間では2週連続高となった。3月雇用統計の内容を好感したNYダウが3日続伸となったことを受けて、8日の日経平均は朝方の寄り付きで93.05円高の21900.55円と3月4日の年初来高値を更新して始まった。しかし、節目の22000円を前に利益確定の売りが出たほか、円相場が強含みとなったことも重しとなり日経平均は4営業日ぶりのマイナスに転じた。9日の日経平均は反発した。ボーイングの業績懸念からNYダウは4日ぶりに下げたことを受けて軟調な始まりだったものの、3月28日以来となる日銀のETF(上場投資信託)買いが流入、米ヘッジファンドが改革要求のため株式を取得と報じられたソニー<6758>が売買代金トップで9%を超える上昇を見たことも日経平均の上昇に寄与した。10日の日経平均は190ドル安と続落したNYダウを受けて一段安となった。国際通貨基金(IMF)が2019年の世界経済の成長見通しを再下方修正したほか、米欧の貿易摩擦の懸念が台頭したことが嫌気された。11日の日経平均は小反発した。米長期金利の低下を受けて為替が円高に振れて軟調な始まりとなったものの、3日連続で流入したETF(上場投資信託)買い効果もありプラスに転じた、11日のNY市場は、週間新規失業保険申請件数が49年ぶりの低水準となり、買いが先行で始まったものの決算発表の本格化を前に手控えムードが広がってNYダウは小幅反落となった。しかし、12日の東京市場は為替の円安傾向を好感して買い先行でスタートした。日経平均は一時マイナスに転じる場面もあったが、今8月期第2四半期の決算内容が好感されたファーストリテイリング <9983> 、米証券取引委員会(SEC)に新規株式公開(IPO)を正式に申請した米ライドシェア最大手のウーバーテクノロジーズの筆頭株主であるソフトバンクグループ<9984>がともに大幅高となったことが日経平均の大幅続伸に寄与し、3月4日につけた終値ベースの年初来高値21822.04円を更新した。ただし、TOPIX(東証株価指数)とJPX日経400指数は5日続落となっている。12日のNYダウは269.25ドル高と急反発した。JPモルガンの好決算が好感されて金融株に買いが広がったほか、3月輸入物価指数も予想を上振れ米経済の堅調さが示されたことが支援材料となった。

■米国企業決算がスタート

今週の日経平均は、強含みもみあい商状が想定される。トランプ米大統領が欧州製品に関税を課す方針を示したことが報道されて、米欧貿易摩擦の懸念が台頭している。米中貿易摩擦ほどのインパクトはまだ出ていないが、15日から2日間、ワシントンで日米の物品貿易協定(TAG)交渉が茂木敏充経済財政・再生相とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表が出席して行われる。内容次第では相場のかく乱要因となってくる。また、17日に1-3月期GDPを始めとする中国の経済指標、18日に米国の経済指標の発表が集中することも留意点となってくる。日本に先行して米国企業の決算発表が活発化する。15日にゴールドマン・サックス、16日にIBM、ネットフリックス、17日モルガン・スタンレー、18日にGEなどが発表を予定しており、その株価の反応も東京市場の物色動向に影響を与えそうだ。12日のNY市場ではJPモルガンの好決算が評価されて金融株全般に買いの手が伸びた。こうした流れがハイテク株などにも広がっていくかが焦点となる。11日の大引け後に発表された安川電機<6506>の決算発表では、今2月期連結経常利益について前期比5.6%減益見込みが示された。12日の株価は売り物一巡後に前日終値の水準に引き戻しアク抜けを誘う動きとなったことは、今後の主力ハイテク株の参考になる。12日のNY市場で為替は1ドル=112円台の円安となっており、下値不安は後退してくるだろう。

■需給的には明るい兆しも

12日の日経平均は5日移動平均線を回復してきたことから、再び200日移動平均線を試す流れに入ってきたが、TOPIXは12日まで5日続落で、4営業日連続して5日移動平均線を割り込んでおり、引き続き相場全体の地合いとしては上値の重さも意識されることになりそうだ。他方、需給にも明るい兆しはみられつつある。4月第1週(1日から5日)の主体別株式売買動向(2市場、金額ベース)で、海外投資家は1月第4週以来となる、10週ぶりの買い越しに転じた。海外投資家の現物市場での買い越しスタンスが鮮明となれば、日経平均の22000円台回復も現実味を帯びてこよう。

■日米TAG協議、中国1-3月期GDP、米3月小売売上高

今週の主な国内経済関連スケジュールは、15日に日米の物品貿易協定(TAG)交渉の初協議が開催見通し(16日まで、ワシントン)、16日に3月首都圏新規マンション発売、17日に3月貿易統計、19日に3月消費者物価指数が予定されている。一方、米国など海外経済関連スケジュールは、16日に米3月鉱工業生産・設備稼働率、17日に中国1-3月期GDP、米2月貿易収支、18日に米3月小売売上高、米2月企業在庫、19日に米3月住宅着工件数、グッドフライデー(聖金曜日)で米、英、香港、シンガポール等市場休場がそれぞれ控える。《FA》

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