他者への思いやりが幸福度を上昇させる 科学的に解明 アメリカの研究

2019年4月9日 08:44

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●他者に焦点を合わせた12分が自らの気分を高揚させる

 深呼吸をする、散歩をする、ショッピングをする。気分が落ち込んでいるときには、個人によって気分を回復させる方法が異なるのは自明の理である。しかしそれが、常に機能するとは限らない。

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 米アイオワ州立大学心理学部のダグラス・ジェンティーレ教授が科学誌『Journal of Happiness Studies』に発表した研究によると、気分を回復させるために確実な方法がある。

 それは、他者に対して情愛を持って対応し相手の幸福を願うことだという。ジェンティーレ教授は、他者に対して優しくすることが自分自身の不安を緩和し幸福感を向上させることが科学的に証明されたと語る。

●実験で行われた12分の散策

 研究チームはまず、実験に参加した496人の学生を4つのグループに分けた。それぞれのグループは、大学構内の廊下や小道を12分間散歩する。

 最初のグループは、「優しく情愛のこもった」思いで散策しすれ違う人が幸福であることを願う。2番目のグループは、すれ違う人と思考や感情や恐怖をどのように共有できるのかを考える。

 3番目のグループは、すれ違う人よりも自身のほうがすぐれているという優越感を持つ。4番目のグループは、相手の衣服やアクセサリーなど外観のみに目を向ける。

 参加したすべての学生は、散策の前と後に「不安」「幸福感」「ストレス」「満足感」「共感度」「連帯感」などのレベルが研究チームによって測定された。

●「優しく情愛のこもった」思いが勝利

 その結果、相手に対して幸福を願った1番目のグループの幸福感や満足感のレベルが突出して高く、不安感が少ないことが明らかになった。

 また、他人と思いを共有する2番目のグループは共感度と連帯感のレベルが高かった。一方優越感を持った3番目のグループには、特筆するようなメリットはなかった。

 研究では、「優越感を持つ」ことで他者と自身を比較した学生は共感度と連帯感のレベルが低いことも明らかになっている。研究チームはこの結果について、他者との比較は競争であるため精神的に大きなストレスや不安をもたらすからではないかと推測している。

●個々の性格は無関係

 研究チームはさらに、個々の性格の相違が研究結果に何らかの影響を与えているかも調査した。たとえば自己陶酔の傾向がある生徒が、他者の幸福を願うのは難しいであろうことも予測していた。

 ところが、こうした個々の性格は研究の調査に全く影響を与えないことが明確になったという。つまり他者の幸福を願うことが、自身の気分の回復につながることは、万人に通用するということになる。

●ソーシャルメディアによる弊害

 ソーシャルメディアが世にあふれている現在、他者と比較をしないで生きることは、ほぼ不可能であることはジェンティーレ教授も認めている。しかしソーシャルを使用することで他者と比較し、嫉妬や怒り、失望を感じることは、幸福感の妨げになっていることは間違いないという。

 他者との比較は、必ずしも否定的なことばかりではない。子供は、他人と比較することによって学ぶことは多い。とはいえ幸福感という分野においては、他者を思いやることがもっとも効果的であるというのが今回の研究の結果である。

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