欧米為替見通し:ドル・円は戻りの鈍い展開か、米FRBの利下げに思惑も

2019年4月8日 17:25

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記事提供元:フィスコ


*17:25JST 欧米為替見通し:ドル・円は戻りの鈍い展開か、米FRBの利下げに思惑も
8日の欧米外為市場では、ドル・円は戻りの鈍い値動きを予想する。米中通商協議の合意期待が継続しており、円買いは後退。ただ、トランプ米大統領が連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策に批判を強めており、利下げへの思惑がドルを下押ししよう。

5日に発表された米国の3月雇用統計は失業率が3.8%(予想3.8%)、非農業部門雇用者数は前月比+19.6万人(予想+17.7万人)、平均時給は前年比+3.2%(同+3.4%)となった。賃金は予想を下回ったものの、雇用者数は伸びを通常並みに回復し、失業率は半世ぶりの低水準を維持。全般底堅い内容となり、米国経済の減速懸念は収束。ただ、株高にも米10年債利回りが低下し、前週末のドル・円は上昇が抑えられたようだ。

週明けのアジア市場はイベント一服で、朝方は5日の米株高を背景とした日本株高で円売りが先行したが、日経平均株価の上げ幅縮小を手がかりに円売りは後退。ドル・円が下値支持線とみられていた111円50銭を下抜けたことで、ドル売りが加速する場面もあった。一方で、中国株安や欧米株式先物の軟調地合いから今晩は株安が想定されるが、米中通商協議の根強い合意期待で円買いは引き続き入りづらいとみられる。

とはいえ、米トランプ政権の人事がドルを下押しする見通し。トランプ大統領は7日、ニールセン国土安全保障長官の辞任をツイッターで発表。また、前週末にFRBの金融政策に関し利下げの必要性を強調するなど、中銀に対する圧力を強めている。保守系の経済評論家スティーブン・ムーア氏のFRB理事指名も取りざたされる。このため米10年債利回りは上昇しにくく、ドルの戻りを抑制しそうだ。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・23:00 米・2月製造業受注(前月比予想:-0.5%、1月:+0.1%)
・23:00 米・2月耐久財受注改定値(前年比予想:-1.6%、速報値:-1.6%)《FA》

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