今週のマーケット展望「波乱含みの年度替わり 材料目白押し」~マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆氏(高井ひろえ)

2019年3月25日 09:54

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記事提供元:フィスコ


*09:54JST 今週のマーケット展望「波乱含みの年度替わり 材料目白押し」~マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆氏(高井ひろえ)
こんにちは、フィスコマーケットレポーター高井ひろえの「マネックス証券の気になるレポート」です。今週は月末とあって景気指標の発表が目白押しです。注目していきましょう。さて、マネックス証券の「メールマガジン新潮流」が、3月25日に配信されました。その中から今回は、同証券のチーフ・ストラテジスト、広木隆氏のレポート「今週のマーケット展望」の内容をご紹介いたします。

まず広木さんは、週明けの東京市場について『米国株の急落とそれに伴うリスク回避の円高を嫌気して売り先行で始まることは避けられないだろう』としたうえで、『しかし、今週は年度替わりの週であり、権利付き最終売買日には権利・配当取りの動きや、インデックス運用をしている機関投資家からの配当落ち分の目減りをカバーするための先物買い—日経平均先物・TOPIX先物合わせて7000億円規模との観測もある—などの買い需要が期待できる。どこまで下げ渋るかに注目したい』と分析しています。

続けて、日本株市場について『米国株次第というところが多分にあるが、その米国株の先週金曜日の反応は過剰だと言える』と指摘しています。加えて、長短金利の約11年半ぶりの逆転が景気後退懸念につながったといわれることに言及し、『これまで何度も述べてきたが、長短金利の逆転は景気拡大の終盤によく観られる現象で、それ自体が景気を後退させるものではない。理屈では中央銀行の利上げが景気を冷やす。政策金利に連動する短期金利は上がるが、景気の先行きが怪しくなると長期金利は上がらない』と解説しています。

そして、広木さんはこの根本にあるのは『中央銀行の利上げ』であるとしています。しかし、FEDは利上げを停止しました。こうなると、『景気悪化にはつながらない』と述べており、『長短金利の逆転というが3ヶ月物国債と10年債の話であり、短いところの金利はFFレートがここまで上がっているのでそれに紐付けられているために高止まりしているだけである。一般的な2年10年では(わずかながら)まだスプレッドが残っている』と伝えています。

続けて、『金利低下は株式のバリュエーションにとっては好材料』であるとして、『米国株は早晩落ち着きを取り戻すだろう。多くの機関投資家がベンチマークにするS&P500は25日移動平均と2800ポイントの大台でぎりぎり踏みとどまった格好だ。ここで切り返せるか非常に重要なところである』と考察しています。

注目される材料としては、まず米中通商協議を挙げ、『今週は閣僚級の協議が28、29日に北京で開催される』と伝えています。また、今週は景気指標の発表も多いですが、なかでも注目されるのは29日の鉱工業生産であるとしています。鉱工業生産については、『景気動向指数の大きな構成項目だけに生産が持ち直せば足元急速に悪化している景況感も底入れ期待が出る。そして生産と関連が高い輸出は、2月に持ち直している。よって鉱工業生産も持ち直す公算が高い』と分析しています。

今週の動きについては、『週初に大きく下落し、その後も年度替わりの特殊要因等に絡む売買で波乱含みの展開が予想される。しかし米国株の反発を基本シナリオにして、鉱工業生産の回復という好材料期待で週末にかけて戻すだろうと考えている』との見解を述べています。

最後に、今週のレンジについて『2万0900円~2万1700円とする』とまとめています。

高井ひろえの「気になるレポート」はマネックス証券の「メールマガジン新潮流」に掲載されたレポートを高井ひろえの見解で注目し、コメントしています。レポート発行人との見解とは異なる場合があります。詳細は発行人のレポートをご確認くださいね。

フィスコマーケットレポーター 高井ひろえ《HH》

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