【どう見るこの相場】東証第1部上場会社厳格化の波紋が広がりボーダーライン銘柄に株高モチベーションも

2019年3月25日 09:52

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 ルールが変われば、人気化する関連株や失望売りに見舞われる関連株が交錯することはよくある。例えば新年度入りとなる4月1日は、働き方改革関連法や改正出入国管理法が施行されるルール改正があり、マーケットが先取りしたように、業務自動化関連株や外国人労働者受け入れの人材関連株が、さらにビジネスチャンスを拡大させるのか、それとも株価に織り込み済みか、試すことになる。また4月30日施行の皇室典範特例法に伴う5月1日の新元号への改元は、今年10月に消費税が引き上げられることも加わって、関連株の人気消長も注目されるところである。

 まだ本決まりではないが、新年度入りとともに上場会社が対応を迫られるに違いないルール改正もある。今年3月中旬以来メディアで相次ぎ報道されている東京証券取引所の市場再編である。東証には、第1部市場、第2部市場、ジャスダック市場、マザーズ市場の4市場があるが、これを第1部市場、スタンダード(中堅・安定)市場、エントリー市場の新興市場の3市場に統合・再編するもので、現在、東証の懇談会で議論が続けられ、4月以降は金融制度審議会に協議が引き継がれたあと、政府が6月に公表する成長戦略に盛り込まれると報道されている。

 この市場再編案の狙いは、東証第1部銘柄の厳選である。第1部の上場会社は、2140社にも達しそれこそピンからキリまで含まれており、これを四半期決算の英文開示義務付けやコーポレート・カバナンス(企業統治)の監視機能を重視し日本を代表する企業中心の市場に生まれ変わらせるというのである。そしてこの第1部上場を維持できる基準は、時価総額により選別し、250億円以上の銘柄に限定し、それ以下はスタンダード市場所属とすることを軸に検討が続けられてきた。

 上場会社にとって、第1部市場は、新規株式公開した新興市場から第2部市場への昇格を経て、最終ゴールとなる所属部で社会的認知度も信用力も格段に高まる。その市場から締め出されることになるとすれば、該当する上場会社にとっては大問題となる。となると、足切り基準の時価総額250億円前後のボ-ダーライン銘柄には、「排除の論理」に抵抗して残留を目指す株高モチベーションの高まりが予想され、新たな相場テーマに浮上することになる。

 実は東証には、直近もルール変更で上場会社が大きく動いた先例がある。売買単位の100株への移行・集約化である。2007年から行動計画推進に取り組み、この最終期限を2018年10月1日としたことで、上場会社には駆け込みの株式併合ラッシュが起こり、売買単位の100株への移行を100%完了した。今回の市場再編案はいつ実施されるのかまだ不明で、さらに猶予期間は3年以上設けると報道されており、売買単位集約化行動計画と同様に息の長い相場テーマとなる可能性はある。

■足切り基準のクリアに向け低PER・PBRの未達上位株から残留可能性

 東証第1部銘柄の時価総額は、前週末22日終値現在でトップのトヨタ自動車<7203>(東1)の約22兆円から最下位の中国工業<5974>(東1)の東証第2部指定替え基準に抵触する19億円まで大きなギャップがある。このうち新上場基準で足切りされるボ-ダーラインを下回っているのはランキング1423位にランクインする東洋エンジニアリング<6330>(東1)の249億円以下、718社に上る。フルサト工業<8087>(東1)は、前週末の2日続伸で足切り基準を1000万円上回ってセーフとなった。しかし基準未達の718社のうち、最下位の中国工業はもちろん、時価総額が200億円に届かない1544位の鳥越製粉<2009>(東1)以下は、余程の株高モチベーションが働かない限り残留は難しいとみられる。

 ということは逆に時価総額が250億円弱から200億円までの121社は、今後のIR(投資家広報)や株主還元策などのPKO(株価維持活動)次第で東証第1部に残留の可能性が高まることになる。当然、業績動向やバリュエーションが、このベースになるとすれば、自ずと時価総額順位の1423位以下の銘柄で市場平均を下回る低PER・PBRの株高素質のある銘柄により株高モチベーションが働くとみたい。そこで時価総額順に該当する上位10銘柄を上げると次の通りとなる。ケイアイスター不動産<3465>(東1)、ニホンフラッシュ<7820>(東1)、不動テトラ<1813>(東1)、オーハシテクニカ<7628>(東1)、フィデアホールディングス<8713>(東1)、宇徳<9358>(東1)、立川ブラインド工業<7989>(東1)ピーシーデポコーポレーション<7618>(東1)、古河電池<6937>(東1)、神鋼商事<8075>(東1)である。

 このうちケイアイスター不動産は、不祥事が続く不動産業界にあって不動産とIT(情報技術)を融合する「不動産テック」を展開する独自のビジネスモデル効果で四半期業績、今2019年3月期通期とも過去最高を連続更新、PERが6倍台、PBRが1.7倍、配当利回りが4.83%と割安で、株価があと17円上ぶれれば足切り基準の250億円をクリアすることになる。前週末22日には、女性取締役を積極登用したことなどで平成30年度の「なでしこ銘柄」にも選定された。同じように株価材料的にも、不動テトラは、中期経営計画の株主還元目標に総還元性向50%以上を掲げ、オーハシテクニカは、業績上方修正・増配・自己株式取得を同時発表し、ピーシーデポコーポは、Windows7のサポート終了で2020年1月に向けパソコンのリプレース需要が期待されなど株価をサポートすることになる。

■東証1部の形式要件充足に向け立会外分売を実施した8銘柄にも番外人気

 また新上場基準そのものとは直接は関係しないが、英文ディスクロージャーをサポートするアイ・アールジャパンホールディングス<6035>(東1)、ロゼッタ<6182>(東マ)、プロネクサス<7893>(東1)、アイフィスジャパン<7833>(東1)、宝印刷<7921>(東1)にも、関連需要の拡大が有力となる。

 さらに新上場基準の番外銘柄としては、それにもかかわらず新興市場から東証第1部へ上場する特例措置があるうちに、駆け込み的に東証1部上場の形式要件充足のために株式立会外分売を実施した銘柄も浮上する。もちろん、1部昇格が実現すれば株価指数に連動するパッシブ運用のリプレース需要も発生するためで、この先取り買いである。この直近の先行銘柄にRPAホールディングス<6572>(東マ)がある。同社株は、今年1月29日に立会外分売を発表、14日に実施し、20日に3月27日付けで東証第1部への市場変更を承認され、株価は途中、2回目の業績上方修正を交え400円超幅急騰した。

 また、今年1月17日に東証第1部への市場変更を申請したテモナ<3985>(東マ)は、3月20日に市場変更が承認(4月12日付け)されたが、同時に型式要件充足のための立会外分売も発表した。この2社と同様、今年年初来、立会外分売を実施した銘柄を発表順に列挙するとエスプール<2471>(東2)、GameWith<6552>(東マ)、ミダック<6564>(東・名2)、神姫バス<9083>(東2)、マネジメントソリューションズ<MSOL、7033>(東マ)、セグエグループ<3968>(東1)、オリバー<7959>(名2)、リンクバル<6046>(東マ)と続く。このうちエスプールは、障害者雇用拡大に関連し、MSOLは、今年3月31日を基準日に株式分割(1株を3株に分割)を予定し、オリバーは、今10月期業績を下方修正したが、配当は配当政策を変更して逆に増配した。またミダックは、昨年11月に東証第2部上場のために株式立会外分売を実施し、今回は東証第1部・名証第1部への市場変更のための再実施となる。上値を刺激することになりそうだ。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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