欧米為替見通し:ドル・円は下げ渋りか、米非常事態宣言警戒も経済指標はまちまち

2019年2月15日 17:25

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記事提供元:フィスコ


*17:25JST 欧米為替見通し:ドル・円は下げ渋りか、米非常事態宣言警戒も経済指標はまちまち
15日の欧米外為市場では、ドル・円は下げ渋る展開を予想したい。米中通商協議の進展期待が弱まるほか、米トランプ政権の非常事態宣言の可能性が高まり、米経済・政治リスクへの懸念再燃からドル売り・円買いに振れやすい見通し。ただ、本日発表となる米経済指標は強弱まちまちの予想であり、ドル売り一辺倒となる展開は想定しにくい。

米ホワイトハウスは14日、与野党の対立で予算確保が困難となっている国境の壁建設費用を確保するため、トランプ大統領が事態打開に向け非常事態宣言を含む大統領権限を行使するとの方針を発表した。つなぎ予算は成立する見通しだが、与野党対立の激化が予想され、株安・ドル安を強める要因となりそうだ。アジア市場では、米中通商協議の進展期待が弱まるなか、午前中に発表された中国の1月消費者物価指数などインフレ指標の伸び鈍化が示され、経済活動の停滞を懸念した円買いの基調が鮮明となった。そうした状況下でドル・円は110円20銭台まで売り込まれ、目先は110円台を維持できるか注目される。

ただ、今晩のドルの下げは限定的になると予想する。足元で発表された米国の経済指標
をみると、前日の小売売上高は9年ぶりの大幅減となるなど景気減速が顕著になっているが、一方でインフレ指標には底堅さも示された。本日発表される輸入物価指数や鉱工業生産は前回を下回るとの予想だが、NY連銀製造業景気指数やミシガン大学消費者信頼感指数速報値は前回の落ち込みからの反発が予想され、ドル売りを弱める手がかりとなろう。ブレグジット協議の混迷でドルが選好されやすいことも、ドル売りを吸収する要因。ドル・円は節目の110円を維持できれば買い戻しで値を戻すとみられる。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・18:30 英・1月小売売上高(自動車燃料含む)(前月比予想:+0.2%、12月:-0.9%)
・19:00 ユーロ圏・12月貿易収支(11月:+190億ユーロ)
・22:30 米・2月NY連銀製造業景気指数(予想:7.0、1月:3.9)
・22:30 米・1月輸入物価指数(前月比予想:-0.2%、12月:-1.0%)
・23:15 米・1月鉱工業生産(前月比予想:+0.1%、12月:+0.3%)
・23:15 米・1月設備稼働率(予想:78.7%、12月:78.7%)
・23:55 ボスティック米アトランタ連銀総裁講演(労働力開発関連)
・24:00 米・2月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値(予想:93.5、1月:91.2)
・06:00 米・12月対米証券投資(11月:ネット長期有価証券+376億ドル)
・米つなぎ予算期限《FA》

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