NECら、AIで河川氾濫を予測するIoT環境を実証実験 クラウドとの通信量90%減

2019年1月25日 17:24

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IoT機器からクラウド環境への通信量を大幅に削減(写真:NECの発表資料より)

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 NEC、東京大学、NTT、早稲田大学は24日、IoT共通基盤を共同で開発し、IoT(モノのインターネット)機器と共通基盤間における重要通信保護に関する実証実験を2018年12月中旬から中国地方で開始したこと発表した。

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 国土交通省は2018年1月23日、危機管理型水位計の観測基準・仕様を策定し、危機管理型水位計の普及と住民避難や洪水予測などへの活用を目指した。仕様面では設置・維持コストを配慮したもので、OKIは同年11月、IoTとの通信機能を備え、頻発・激甚化する河川の急激な水位変化の計測に特化した超音波式「危機管理型水位計」を提供。急激な水位変化に特化することで、通信量を抑制するものだ。

 今回の発表は、IoTとクラウド間の通信量を90%削減する仕組みを、IoT共通基盤に構築したもので、実証実験を開始。単純に考えれば、急激な水位変化の前後からの観測を実現する可能性を持ち、更に詳細で広範囲の洪水被害を予測可能になる。

 国交省が2018年3月に発表した統計によれば、2016年の水害被害額は4,660億円。過去10年間で2番目に大きい。最近の異常気象を鑑みれば、河川氾濫の予測と対策は重要性を増す。

●河川氾濫を予測するIoT共通基盤の特長
 河川氾濫に人工知能(AI)の一種である機械学習を活用。この学習機能の実行環境を、平時と災害時でシームレスに切り替え、通信量を抑制する。

 具体的には、水位・降雨センサーなどのデータをもとに学習機能を用いて河川水位の予測モデルを作成。平常時には、学習と予測はクラウド上で実行される。

 一方、緊急時には、災害発生が予測される重点地域から詳細なデータの収集が必要になる。そのため非重点地域における予測機能をIoTゲートウェイに移動。重点地域からの詳細データを収集する通信帯域を確保する。

 現時点での試算では、約90%の通信量を削減できる見込みという。

●実証実験の概要
 各種センサーおよびIoTゲートウェイは中国地方に設置。クラウドは、情報通信研究機構(NICT)が運用するJOSE(Japan-wide Orchestrated Smart/Sensor Environment)を活用。実施期間は、2018年12月中旬から2019年2月中旬まで、総務省の委託研究「IoT 共通基盤技術の確立・実証」プロジェクトの成果を確認する。

 この平常時と緊急時のシームレスな切り替えが可能になれば、小規模な設備でも河川監視ができるようになり、2級河川等へも展開が可能だ。期待通りの通信量削減が叶うことを願う。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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