【コストカッター、カルロス・ゴーン(6)】ルノーの日産会長人事の任命責任

2018年11月29日 20:15

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■ルノーの日産会長人事の任命責任

 ルノーが人事権を掌握している事実を見ると、カルロス・ゴーンを長年、日産の実質的CEOとして使ってきたことは、企業経営の視点から適切とは言い難い長さであった。結果として、日産社内のコンプライアンスを乱し、ガバナンスを適切に保つことが出来なかったことになる。

【前回は】【コストカッター、カルロス・ゴーン(5)】 独自技術開発を縮小した功罪

これは、日産社内の責任を追及するだけでなく、ルノー、ひいてはフランス大統領の失敗と見るべきであろう。政治家や投資家にとっての「ビジネスモデル」の意味合いは、社員やユーザーとは違っているのであり、極端な場合、そこに社員がいることさえ忘れている。

 日産のガバナンスの責任を問う声が高いが、現実の日産社内でのカルロス・ゴーンの絶対的支配力を理解しなければ現実は分からない。今回の件も、取締役が不正と思われると感じて議題に乗せれば、即座に解任されてしまうのは確実であろう。「企業統治は民主的でない」のが基本と言ってよい。人事権を握られていては、こうした不正を正すのに、今回のように刑事告発するしか方法はないと見るべきだ。

そして、反撃があることも当然としていかねばならないため、告発するだけでも勇気が必要であっただろう。その意味からすれば、日産側に「告発しなければならない理由があった」と見るべきだ。それは、恐らくは「合併の話」であり、しかし「クーデター」なのかどうかは永久に語られないかもしれない。

 こうした人材を会長として派遣し続けていたルノーの責任が、実際には大きいと見ざるを得ない。先日の取締役会で、ルノー側の取締役2名も、カルロス・ゴーンの会長職を解く決議に賛成したことは、ルノー側がその責任を感じるようになる大きな1歩かもしれない。

■今後のルノー(フランス政府)との攻防

 今後、フランス大統領が「強圧的に日産を併合する」となると、これらのマイナス面を覚悟しなければ、ルノーも決断できまい。まして会長職にありながら、公私混同を犯してしまった人物を送り込んでいた責任をルノーが感じていないとするなら、日産は独立を目指すことが常識的判断と言える。

私も、企業経営者として住宅を提供されていた当事者であったが、家賃を払わない選択肢はありえないことを書いておく。私が住宅を日本国内で提供されていた当時、まだ不動産物件は上昇を続けている時で、企業の投資としても十分成り立ち、しかも家賃が絶え間なく入るので会社の立場でも申し分はなかった。むしろ、個人としてはローンを払って自分の名義にしていれば、値上がり分の利益を享受できるのにと感じていた。

 ゴーンのように、企業の利益を優先しないことを国際標準などと考えるのは、経営者として失格だ。なぜなら、企業は社会的責任があり、その長たる者がリストラしながら私腹を肥やす姿勢は、違法となるかならないかの判断に関わらず、また国際標準であっても、許しがたい姿勢だ。

 これからルノーと日産が統合するとなると、日本国国民にとって不利なことが多いだろう。そのマイナス面の規模は、買収を受けた当初の「2万1,000人のリストラ以上のマイナス」となろう。併合直後は極端なことはするまいが、5年10年のうちに当初の計画通りに日産は消滅し、「ルノー日本支社」となってしまうだろう。また、生産をフランスに移設するとなると、日本国内のマイナスはサプライヤーチェーンを含めて考えると、明確ではないが尋常ではない。日本経済のためにも、とても見過ごすことはできない規模といえる。

 次は、フランス政府との攻防のストーリーを見てみよう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

続きは:【コストカッター、カルロス・ゴーン(7)】 ルノー(フランス政府)との敵対的攻防を想定せよ

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