感染初期でもインフルエンザのウイルス型判定が可能に 阪大と東工大

2018年11月22日 21:19

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ナノポア(細孔)によるインフルエンザウイルス粒子の検出(画像: 大阪大学の発表資料より)

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 インフルエンザは毎年のように流行し、またそのウイルス型も年によって異なるやっかいな病気だ。治療には感染初期の早めの判定が重要だが、大阪大学と東京工業大学の研究グループは、インフルエンザウイルスを1個レベルで検出し、ウイルス型を判定することに成功した。この方法によるウイルス検査キットが実現すれば、現在使われているキットに比べてはるかに早く簡単に、検査者の能力にも左右されずにインフルエンザかどうかを判断できるようになる。

【こちらも】東大・京大など、インフルエンザウイルスの遺伝システムを解明

■早めのインフルエンザかどうかの判定が重要

 インフルエンザに対して「迅速診断キット」による検査が広く行われているが、発症の初めの時期には陰性とされることも多い。それは、インフルエンザウイルスが体内で増殖するまでに時間がかかるからだが、検査者が目視で判断するので能力による差も大きいと言われている。また、発症から3日以上経過するとウイルス量の減少により検査に反応しない可能性がある。したがって、発症してインフルエンザの検査を受けた時には陰性といわれ、治らないので数日して病院に行ったらまた陰性の判定だったが、実はインフルエンザだったということもあり得るわけだ。

 一方、治療に使う抗インフルエンザ薬は罹患後48時間以内の服用が効果的なため、早めにインフルエンザかどうかを知ることが重要であり、それが可能になれば患者は長く苦しまなくてもすむということになる。

■1個のインフルエンザウイルスの高精度識別に成功

 大阪大学と東京工業大学の研究グループは、検体を、経がナノメートル(10億分の1メートル)レベルの細い穴を通らせ、ウイルスの通過をイオン電流の変化によって知る方法(ナノポア法)によって1個のインフルエンザウイルスでも検出することに成功した。

 また、イオン電流シグナルの解析に人工知能(AI)技術を応用することにより、人間の目では判別できないわずかな変化の違いも把握できるようにした。

 その結果、インフルエンザウイルス1個でも72%の精度で、20個以上では95%以上の精度で、ウイルス型(A型、B型、A亜型)まで判定できることを実証した。

 なお、この研究結果は、英国科学誌「Scientific Reports」に掲載された。

■社会に与える影響

 今回の成果は、検査キットに応用されれば前述したように検査者の能力によらない精度の高い判定ができるようになり、インフルエンザかどうかを、ウイルス型を含めて感染後の早い時期に知り、治療を開始することができるため、患者の負担軽減や感染の拡大抑止につながることが期待できる。

 また、従来の検査ではウイルス型ごとに判定する作業になるが、今回の方法では多種類のウイルス型の判定を一度に行うことができる。このことは、インフルエンザにとどまらず、他の種類のウイルスにも応用できることを示しており、一度に多くの項目についても検査する道を開いたものといえよう。

関連キーワード人工知能(AI)大阪大学東京工業大学

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