ロシアに極寒冷地仕様の風力発電機が完成 NEDOが実証実験を開始

2018年11月10日 09:03

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実証運転を開始した風力発電機。マイナス30度以下での運転が可能、各300kW、3基。(画像:新エネルギー・産業技術総合開発機構発表資料より)

実証運転を開始した風力発電機。マイナス30度以下での運転が可能、各300kW、3基。(画像:新エネルギー・産業技術総合開発機構発表資料より)[写真拡大]

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、ロシアの極東にあたり北極圏に属するサハ共和国のティクシ市に極寒冷地仕様の風力発電機3基を完成させ、風力発電システムの実証実験を行う。

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 今後、風力発電だけでなくディーゼル発電、蓄電池などを組み合わせて極寒冷地に適応するエネルギー管理システム「ポーラーマイクログリッドシステム(Polar Microgrid System)」を構築、安定供給を目指して、2019年12月から本格的な実証実験を行う。

 さて、ロシアの極東、同国でも最も寒冷な一帯では、大規模な電力系統が確立できず、ディーゼル発電による小規模な独立系統発電に依存する地域が多数存在する。ティクシ市もそうした一帯に属する。

 これらの地域では、主に燃料輸送コストのために、発電単価が極めて高い。電力価格は地方政府が負担しているので市民が払っている電気代は平準化されているが、その分政府にかかっている財政負担は極めて重い。その上、ディーゼル発電機の老朽化が進み、更新もままならず、インフラの安定供給に支障をきたしそうな状況となっている。

 さて、そこで風力発電システムを含むエネルギー事業を請け負ったのがNEDである。NEDOは、極寒冷の気候に適応した運転制御システムを構築してマイナス30度以下の環境での運転を可能とする極寒冷地仕様の風力発電システムを建造し、このたび実証実験を開始したというわけだ。

 本システムの導入により、ディーゼル燃料の使用量は、最終的に年間約16%削減できると見込まれている。

 今後のスケジュールとしては、2019年9月にディーゼル発電機・蓄電池等を組み合わせた再エネ協調システムを導入、同12月にエネルギーマネジメントシステムの実証運転実験を開始、これを2021年2月まで続ける予定であるという。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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