JAXA、「きぼう」での対流実験により熱コレ2018で最優秀動画賞を受賞

2018年11月7日 21:19

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、10月20日~21日に日本機械学会主催で開催された「熱工学コンファレンス2018」(会場: 富山大学)にて行われた「熱工学コレクション2018」において、「マランゴニ対流」実験の成果発表により最優秀動画賞を受賞した。

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 マランゴニ対流とは何か。私たちが暮らす地球は「水の惑星」と称されるほど、水に恵まれており、この水は、自由自在に形を変える「液体」だ。しかし、一見自由に存在するように思う液体の動きもいくつかの複雑な秩序に基づいている。それらのルールを調べ規則化する学問分野を「流体物理」、「流体力学」という。

 「液体」は何らかの力が加わった時に、秩序のある運動が発生し「流れ」が起きる。高低差による流れ(滝など)、水鉄砲のような圧力による力もあれば、熱からのエネルギーによって発生する流れもある。「マランゴニ対流」とは、表面張力が場所によって違う場合に発生する流れだ。例えば温度差で見てみると、気温の低いところでは、表面積をできるだけ小さくしようとする力(表面張力)は大きくなる。逆に気温の高いところでは、表面張力は小さくなる。表面では気温が高いほうから低いほうに引張られ、液体全体の対流に発展する。この対流が、マランゴニ対流というわけだ。

 今回受賞した発表では、「きぼう」及び地上でのマランゴニ対流実験で撮影した魅力的な動画が紹介された。マラゴンニ対流について理解することは、例えば熱を持ってしまうことが問題視されている、携帯電話やパソコン等の電子機器を冷却するヒートパイプの高効率化の実現や、化学分析や医療分析で重要となるマイクロ流体ハンドリング技術の確立などの応用に使えると考えられている。

 また、この実験を行うのに、液柱をコントロール出来る宇宙空間は最も理想的な場所だ。流れの様子を詳細に観察するためには、時間をかける必要がある。微小重力環境のISSにおいて、実験で取得した画像や温度をくまなく丹念に解析することにより、マランゴニ対流の不思議な規則性を明らかにすることが出来、さらなる流体物理の研究により、学問的な進歩発展や、様々な応用が期待されている。

 マランゴニ対流の実験は、円柱の形状(液柱と呼ぶ)を利用するのが適している。液柱の実験で、「フローティングゾーン法」と呼ばれる結晶成長への応用が、基礎的な研究であることが理由の一つだ。同じ液柱でも温度を上げると、液体の流れは「定常流」から脈を打ったような「振動流」へと流れの形態が変わる。

 発表は、JAXAの松本聡主任研究員、公立諏訪東京理科大学の河村洋教授・学長、横浜国立大学の西野耕一教授が共同で行った。熱工学コレクション(熱コレ)2018では、熱工学に関連する動画発表を分野や対象を問わずに募集。JAXAの発表は、「独創性が高く最も印象的である」との評価を受け、受賞につながった。

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