名大とJST、持続型血糖モニタリングコンタクトレンズ開発 電力供給は不要

2018年10月19日 09:22

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持続型血糖モニタリングコンタクトレンズ(写真:JSTの発表資料より)

持続型血糖モニタリングコンタクトレンズ(写真:JSTの発表資料より)[写真拡大]

 名古屋大学とJST(科学技術振興機構)は18日、世界最小クラスの発電・センシング一体型血糖センサーを開発したと発表した。

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 外部からの無線給電が不要なコンタクトレンズ方式による持続型血糖モニタリング。これは世界最小クラスの発電・センシング一体型のモニタリングだ。

 毎日食べている食事(米、パンなど)には、糖が含まれている。糖は小腸から吸収され、血液の中に入り、血糖値が上昇する。この血液中の糖をエネルギーに変換、それがインスリンの役割だ。つまり、インスリンがなければ、血糖値を下げることはできない。糖尿病は、「インスリンが足りない」か「インスリンが効かない」かである。糖尿病になると、血糖値が高い状態が続き、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、糖尿病神経障害などの合併症が発生。加えて、アメリカでは糖尿病患者の7割が心筋梗塞や脳梗塞で死亡するとの報告もある。

 厚生省は2016年、20歳以上の「国民健康・栄養調査」結果を発表。その報告の内訳は、「糖尿病が強く疑われる者」の割合は12.1%(男性 16.3%、女性 9.3%)である。加えて、「糖尿病の可能性を否定できない者」の割合も、12.1%(男性12.2%、女性 12.1%)もある。総計2,000万人、4人に1人と驚異的な数だ。

 「糖尿病が強く疑われる者」は1,000万人と推計、1997年の690万人から毎年増加。「糖尿病の可能性を否定できない者」も約1,000万人と推計。1997年の680万人以降、2007年の1,320万人をピークに、2016年には1,000万人まで減少した。

 「糖尿病が強く疑われる者」の内、治療を受けている者の割合は76.6%。1997年の45.0%から大きく増加した。

 今回の発表は、低侵襲かつ単独自立動作が可能な血糖コンタクトレンズを開発。糖尿病医療や糖尿病予防に貢献できるものだ。

●発電・センシング一体型血糖センサーの特長

 画期的なことは、コンタクトレンズを装着するだけで継続的に血糖値をモニタリング可能なことだ。

 涙液に含まれる糖(グルコース)を基に1ナノワット以上の電力を生成することだ。血糖濃度と相関のある涙液糖濃度によってグルコース発電素子出力電圧が変化。半導体集積回路を用いてこの出力電圧を無線発信頻度へと変換し、発電とセンシングの同時動作を実現した。また、グルコース発電素子は、0.6ミリメートル角と世界最小だ。

 研究の詳細は、17日開催の国際会議IEEE BioCAS 2018で発表する。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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