【2019春夏パリ ハイライト6】パリ閉幕 共存するフューチャリスティックとナチュラル

2018年10月9日 21:36

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記事提供元:アパレルウェブ

 フューチャリスティックとナチュラルの共存。2019春夏パリコレクションが9月24日から10月2日、パリで開かれた。ここ数シーズン、「ジャック ムス(JACQUEMUS)」だけという状態が続いていた初日に、ディオールもコレクションを行い、オフスケジュールでグッチもコレクションを開催するなど、実質的にも以前の9日間に戻ったともいえそうな今シーズン。78ブランドがコレクションを発表した。
 デザインはフューチャリスティックと、生命の根源である自然や海、ビーチ、リゾートからのインスパイア、アフリカ、フューチャー・トライブ、女性の身体の美しさ、ハンドクラフトなどがキーワードになった。モデルもアフリカ系など黒人のモデルたちが目立ち、かつての「ブラック・イズ・ビューティフル」などの言葉を思い出させるほどだった。また、トランスジェンダー、スポーツ、80年代などもポイントになっていて、ビッグシルエットやオーバーサイズなども続いている。こうしたデザインやポイントは、ここ数シーズン注目のフューチャリスティックと、それとは対照的なナチュラルの共存ともいえるもの。2020年まで目前となった今。60年代に夢見たレトロフューチャーを再現するだけでも、自然回帰や原点回帰だけでもない、今ここにある未来。未来的なムードやテクノロジーを当たり前のものとしてとらえ、ごく自然にリラックスしながら楽しむことができる今を表現しながら、次に来る2020年代のスタイルを模索しているのかもしれない。
ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)


画像:ルイ・ヴィトン
 「ルイ・ヴィトン」はミラージュ(蜃気楼)をテーマに、ニコラ・ジェスキエールが得意とするフューチャリスティックなデザインをベースとし、80年代を思わせる懐かしいプリントや未来都市を描いたプリントを使ったコレクションを見せた。
 80年代を思わせるレトロ調プリントのワンピースやパンツ、60年代の未来派をほうふつさせるラバー素材のコートやメタリックなドレス。どこかシュールレアリズムやエスニックなムードも漂う、未来都市を描いたプリントのジャケットやワンピースは、袖にロープなどで凹凸感をプラスすることで、水面に映った風景が揺れるように新しい表情を生み出す。
 エッグバッグ、「ルービックキューブ」からインスパイアされたバッグ、コンピュータバッグなどのバッグも、未来的なムードとレトロが共存するコレクションのイメージをさらに強調している。一方、靴はスニーカーがなくなり、ショートブーツが提案されている。
 また、トランスジェンダーの流れを反映し、スーツやプリントのインナーなど、レディースコレクションを着た3人の男性モデルも登場した。
トム ブラウン(THOM BROWNE)


 「トム ブラウン」は真夏の昼の夢とでも呼べそうなコレクションを発表。今シーズンも、見る者を夢の世界や異空間に連れて行ってくれた。
 「ビーチでの、良し悪し」をテーマに、見たこともないビーチスタイルを提案した今回。アメリカン プレッピーを変形し、スライスされ、刺しゅうを施し、並べ替え、ゆがめたデザインや、拡大したシアサッカー、ギンガムチェック、クジラやアンカー(いかり)、ヨット、ひとで、かにのモチーフ。そして、デフォルメされたビッグシルエットや手も上がらないほど極端にシェイプしたプロポーションなど、日本のアバンギャルドなどとも共通するようなデザイン。
 トム・ブラウンがこれまでも繰り返してきたアイデアやモチーフは、サルバドール・ダリなどが海辺で夢を見ながら描いた絵のように、自由自在に組み合わされ、不思議な服に生まれ変わる。女性の身体を解放し、自由を与えた象徴であるツイードジャケットもゴールドのクチュールドレスと共存する。そして、パンクやフルーツのマスクやパイナップルのヘッドピース。未来と海が混じり合う。
 ショーや規模、日程などが縮小し、リアルな服が求められるなど、変わりつつあるパリコレクションに刺激を与えるようなインパクトのあるコレクション。
ノワール ケイ ニノミヤ(noir kei ninomiya)


画像:ノワール ケイ ニノミヤ
 「ノワール ケイ ニノミヤ」のテーマはフュージョン(融合)。フューチャリスティックでありながらも植物や動物のようなエネルギーも感じさせるドレスや、日常と未来が入り交じるライダースジャケットやブルゾンとスカート。サイバーパンクという言葉を思い出させるデザイン。
 メタリックなコートも未来的なムードの素材とクラシックなオートクチュールのようなデザインが共存している。タンポポのようなヘッドピースも、フューチャリスティックと自然からのインスピレーションがミックスされた、今シーズンを象徴しているように見えた。
サカイ(sacai)


 「サカイ」は“均整のとれたバランスの探求”をポイントに、非対称なものが、身につけた途端バランスを取り戻す、軽く未来的なコレクションを見せた。
 独自のハイブリッドの遊び心で、服を大胆に垂直に切り取り、一見全く異なり相反するようにもみえる衣服同士をつなぎ合わせ再構築し、新しいものを創り出す「サカイ」。フューチャリスティックな白を使ったジャケットとベスト、パンツとミニスカート、ニットとレースなどを組み合わせたデザイン。ミリタリーケープの機能性を生かしながらアシンメトリーにかたちを変えたデザインやテーラードのブレザーとオーバーサイズのトレンチスリーブ。あるいは、タキシードジャケットとミリタリーのケープスリーブにトレンチのカラーから生まれた新しいアイテム。フローラルプリントはHenri Kvanskiによるヴィンテージデザインへのオマージュ。 光や風を感じさせるイエローやオレンジのプリーツなども軽やかさを増している。
 サカイらしさや方法論は変わらないのに、より軽く未来的に見えたのは素材の軽さに加えて、絶妙なバランス感覚のためだろう。リアルでありながら新しく、サカイらしさと時代の求める軽さもさらに強調された、これまで以上に新鮮なコレクション。
アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)


画像:アレキサンダー・マックイーン
 「アレキサンダー・マックイーン」は女性の日々をテーマに、生まれたときに着る服や結婚式のドレス、亡くなったときに着る服まで、1人の女性の一生や様々なシーンに対応するコレクションを発表した。
 同じ素材を使いながら、マニッシュからフェミニン、ラブリーまで、いろいろなデザインに生まれ変わらせていることが今シーズンの特徴。中世のドレスの上に、マックイーンらしく左右対称にたくさんの花を乗せてスキャンし、その布を組み合わせて改めて創ったドレスや、レザーの上にハンドプリントで花を描いたドレス、クリノリンの上に手作業で花の刺しゅうを乗せたアシンメトリードレス。アトリエの職人が生み出すオートクチュールのようなハンドクラフトと、最新のテクノロジーが共存していることもポイント。
 インサイドアウトの上にも刺しゅうが重ねられ、しなやかなライダースジャケットなどの上にも甲ちゅうのようなディテールが重ねられている。
ジバンシィ(GIVENCHY)


画像:ジバンシィ
 「ジバンシィ」のテーマは「I AM YOUR MIRROR」。鏡からインスピレーションを得て、女性のものや男性のものとされていたものを変化させた今シーズン。ショルダーは小さく、ウエストを彫刻のように絞ったデザインやジェンダーレスなミリタリードレス、ごく短いスカートと床まで届くロングスカート。アシメトリーなカッティング。フローラルプリントはウィメンズとメンズの両方で使われていて、シルバーでラッカーされたシルバーレースのドレスとともに、メンズでもミラーの刺しゅうが使われている。
ビューティフル ピープル(beautiful people)


 「ビューティフル ピープル」は、80年代後半から90年代のアバンギャルドをほうふつとさせるコレクション。
 フラジルという言葉がトレンドだった時代を思い出させるような、しわ加工や洗いざらしたような素材、インサイドアウトや前と後ろを変え、パズルのように変化させていくマジカルファッション。そして、まき付け形を変えるデザインや脱ぎかけのような形のジャケット。数回前にも見せた、ステージ上に黒子のようなスタッフたちが登場し、その場で変化していく様子を見せる演出も当時を思い出させる。だが、何通りにも着ることができるドレスは、ポリエステルなどではなく、自然のファブリックやオーガニックなマテリアルを使っていて、顔料にはワインを使っている。
 東京でコレクションを発表している頃は欧米のクラシックやトラディショナルをベースにしていた同ブランド。黒の衝撃から四半世紀以上たち、当時の復刻版も出る中で、アバンギャルドも既に歴史の1ページやクラシックになっているということかもしれない。
ジュンコ シマダ(JUNKO SHIMADA)


 「ジュンコ シマダ」は、1969年の開催から50周年を迎えるフェスティバル「ウッドストック」がインスピレーション。たくさんのチェックをつないだデザインやペイズリーを使ったヒッピースタイル、デニム、スカーフプリント、フリンジをつけたインディアンルック。リバイバルが注目されるとともに、島田順子さんの娘、今日子さんが手掛ける乗馬服からインスピレーションを得たファッションとスポーツのハイブリッドブランド、「ラバリエール(LAVALLIERE)」がパリコレ期間中にパリのジュンコ シマダショップでショールームを開催した中、順子さん自身も若い頃に戻り、自由でリラックスしたスタイルを作りだしたようだ。
レオナール(LEONARD PARIS)


 「レオナール」は、アイコンであるフラワープリントとともに、自然の風景のプリントやアフリカ風の柄、アニマル柄などを使ったコレクションを発表した。黒の時代にもフラワーモチーフを続けるなど、独自路線を続けながら、トレンドもプラスする。今年60周年を迎えたブランドらしい、変わらないものと変わるもののバランスがとれたコレクション。
シャッツィ・チェン(SHIATZY CHEN)


 「シャッツィ・チェン」は幻夢をテーマに、時空を超えた、東洋のファンタジックな世界への旅を表現した。麻雀の牌(ぱい)をイメージさせるステージに登場したのはキジや丹頂鶴、北京犬、おしどり、チョウやカブトムシなどのモチーフを使ったデザイン。柔らかく流れるような雰囲気を様々な素材で、夢を表現したからだろうか、ブランドロゴを目立たせたアイテムや得意とする刺しゅうを駆使したデザインも登場しているが、これまで以上に軽く、未来的になっている。
アニエスベー(agnès b.)


 「アニエスベー」は、今シーズンもパリの日常や女性が求める様々なスタイルに対応するデザインをそろえた。ジャンプスーツから、平和の象徴であるハトのモチーフをつけたフード付きパーカーとインナー、中国服、転写プリント、アートプリント、シックなワンピース、自然を感じさせるデザイン、浴衣風、そして、リゾートスタイルや未来のライダースまで、全体にリラックスしたナチュラルなスタイルが中心になっている。
ヴァレンティン・ユダシュキン(VALENTIN YUDASHKIN)


 スポーツとクチュールなど、毎シーズン、二部構成とも言えそうなコレクションを見せる「ヴァレンティン・ユダシュキン」。今シーズンは着物やジャポニズム風、東洋趣味とも言えそうなコレクションを発表した。着物とオートクチュールをミックスしたようなデザイン。もちろん、ユダシュキンらしいオートクチュール的なドレスなども健在だ。
アー・ペー・セー(A.P.C.)


 「アー・ペー・セー」も70年代を思わせるロマンチックでレトロなスタイルをリアルなストリートウエアに仕上げた。デニム、ミリタリー、ドット、チェックなど、様々な素材や柄を使ったバリエーション豊かなコレクション。イエローやピンクなど、鮮やかな色使いも印象に残る。
マリメッコ(Marimekko)


 「自然に大胆に」をテーマにした「マリメッコ」。今シーズンはアーカイブプリントを使ったデザインとともに、フィンランド語でマリーのドレスというブランド名らしく、ドレスに力を入れたデザインやウニッコ柄を白と黒で表現したドレスなどを提案している。
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取材・文・画像:樋口真一

※この記事はアパレルウェブより提供を受けて配信しています。

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