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自閉スペクトラム症への「オキシトシン」反復投与は何故うまく行かないのか

2018年10月1日 09:17

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オキシトシン反復投与で脳活動改善効果を有意に認めたヒト脳の内側前頭前野。(画像:日本医療研究開発機構発表資料より)

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 自閉スペクトラム症(ASD)に対する治療法として現在、強い注目を集めているオキシトシン。しかし、単回投与であれば効果があるのだが、複数回の反復投与を行うとその有効性が必ずしも確認できないという問題が生じ、研究は暗礁に乗り上げかけているという現状がある。それに関し、オキシトシンの反復投与において何が生じるのか、その一端を解明する研究報告が、浜松医科大学精神医学講座の山末英典教授ら、東京大学(ベナー聖子研究員など)、早稲田大学(掛山正心教授など)、日本医療研究開発機構の共同研究によって発表された。

【こちらも】自閉スペクトラム症の治療薬「オキシトシン」経鼻スプレー、治療効果を実証研究

 自閉スペクトラム症は、有病率が約100人に1人という出現頻度の高い発達障害の一つである。社会的コミュニケーション障害と常同行動・限定的興味を中核症状とし、2歳から3歳程度で明らかになったその症状は一生涯続くとされているが、現状、この中核症状に対する有効な治療薬は「確認されていない」とされており、世界的な医療的ニーズを生み出している。

 さて、そうはいっても注目されている治療法にオキシトシンという薬剤があるわけであるが、一回なら効いても反復的に投与すると効果が良くわからなくなる、という問題があるわけである。

 今回の研究では、ヒトの臨床試験、並びに動物実験によって、オキシトシンの単回投与と反復投与のそれぞれにおいて、どのような生化学的な変化があるのか、プロトン磁気共鳴スペクトロスコピーという内側前頭前野の代謝物濃度を測ることのできる方法などを用いて分析された。

 結果として判明したことには、オキシトシンの6週間の経鼻投与を経て、内側前頭前野のNアセチルアスパラギン酸濃度とグルタミン酸-グルタミン濃度和が減少していることが分かったという。

 なお、この問題はプラセボ投与群においては発生しないことも確認されている。

 この現象がどういう理由により発生しどういう意味を持つのかはまだ明らかではないが、今後の自閉スペクトラム症治療の一助となることが期待される。

 なお、研究の詳細は、Molecular Psychiatryに発表されている。(藤沢文太)

関連キーワード東京大学早稲田大学発達障害日本医療研究開発機構

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