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NEC、ソリューションビジネス強化で中計営業利益1500億円を目指す
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8月7日、日本電気(NEC)は2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会で同社の顔認証システムが正式導入されたと発表した。大会の安全・安心を確保するために、30万人の大会関係者の顔画像を経年劣化や人種評価を把握・認識し、瞬時に顔認証を実行するNECのパブリックセーフティソリューションである。
【こちらも】東京五輪・パラリンピックでNECの顔認証AIシステム採用
NECは1899年岩垂邦彦によって、ウエスタン・エレクトリック社との合弁会社として設立され、当初は電話交換機などの通信機器を主な事業としていた。
1928年に現在のFAXの基礎となるNE式写真電送装置を発明し、昭和天皇即位式の写真を新聞に掲載することに成功、1964年にはマイクロ波による無線中継に成功し、東京オリンピックで世界最初の国際テレビ中継を行なった。
国内外の政府・官公庁など向けの社会ソリューションを提供するパブリック事業、製造業、流通・サービス業、金融業向けにITソリューションを提供するエンタープライズ事業、通信事業者向けの基盤システム、運用サービスなどを提供するテレコムキャリア事業、幅広いビジネス向けのプラットフォームを提供するシステムプラットフォーム事業などを展開するNECの動きを見ていこう。
■前期(2018年3月期)実績と今期(2019年3月期)見通し
前期売上収益は2兆8,444億円(前年比7%増)、営業利益は前年よりも221億円増加の639億円(同53%増)であった。
営業利益増加の要因としては、日本航空電子工業の連結子会社化などによりパブリック事業で213億円、海外向けのセーフティビジネスの好調と事業間調整額の計上などによりその他事業で181億円、費用の効率化によりシステムプラットフォーム事業で18億円の増益。一方で、国内通信事業者の売上不振と海外での構造改革費用の計上によりテレコムキャリア事業が160億円、IoT関連投資費用の増加によりエンタープライズ事業が40億円の減益によるものである。
今期見通しは、売上収益2兆8,300億円(同1%減)、営業利益は400億円の構造改革費用を織り込んで500億円(同22%減)を見込んでいる。
■中期経営計画(2019年3月期~2021年3月期)で営業利益1,500億円を目指す
社会価値創造型企業への変革を目指して、AI・IoT・セキュリティ技術開発を組み合わせて「収益構造の立て直し」と「成長軌道への回帰」を図ることにより、2021年3月期営業利益1,500億円(対前期比135%増)を目指して下記の戦略を推進する。
●収益構造の立て直し
1.人件費削減
サービス型ビジネスへの変革に向け間接部門、ハードウエア事業領域で3,000人の構造改革。
2.経費削減
全社IT共通化、デジタルマーケティングの推進などにより不動産、IT、マーケティング費用の削減。
3.テレコムキャリア事業の構造改革
市場の変化に対応し、ネットワークの強みを生かし顧客との協業などによりソフトウェアサービス体制を強化する。
4.エネルギー事業の再編
小型蓄電、電極から撤退し、エネルギーシステム一括請負の再編強化。
●成長軌道への回帰
1.国内事業の強化
市場の変化に対応し、顧客に密着したソリューションの強化拡大。
2.グローバル展開
セーフティビジネスに注力し、データの収集、分析、共通業務の3プラットフォームを活用したサービス型ビジネスモデルの展開。
ハードウエアからソリューション主体のビジネスへ転換し、大幅増益を目指すNECの動きから目が離せない。(記事:市浩只義・記事一覧を見る)
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