理研、ハエの行動・脳内解析から未知の動物間コミュニケーション戦略を発見

2018年8月12日 08:09

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オスのマーキング領域に惹きつけられるハエ。(画像:理化学研究所発表資料より)

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 理化学研究所(理研)の研究グループは、発光バイオセンサーを利用した研究によって、ハエの一種キイロショウジョウバエがcVAというフェロモンによって行動を調節する新しいコミュニケーション戦略を発見した。

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 フェロモンによるコミュニケーションは、ハエに限らず哺乳類においても広く見られるものである。しかし、これまでの研究では、フェロモンに対する神経応答と動物の行動とをリアルタイムで追跡するシステムが存在しなかったため、具体的にどのようなコミュニケーションが脳内で創出されているのかは定かではなかった。

 従来の方法というのは、計測用のプレートなどにハエの頭部を固定、神経活動と仮想空間上の行動を記録すると言うものであったが、これでは実際の行動を観察することができなかった。

 そこで研究グループは、自然環境下で自由に行動するハエの、特定の神経細胞の活動をリアルタイムでモニターするシステムを開発したのである。このシステムによって、オスのハエのフェロモンであるcVAに対する神経応答と行動を可視化し、フェロモンを介したコミュニケーション戦略の解明にあたった。

 まず、遺伝子操作によって、cVAに特異的に応答する神経細胞に、バイオセンサー「エクオリン」を発現させたハエを用意した。エクオリンは、細胞が興奮すると光を発するので、その光子を計測することでcVA応答神経細胞の活動を調べることができるのだ。

 この発光するハエが、発光しないハエとともに小さなアリーナ内を動き回ってコミュニケ―ションをとるのを赤外線カメラで追跡したところ、オスはマーキングという行動によってアリーナの壁面に分泌物を放出し、その分泌物がcVA応答神経細胞を活性化させることが分かった。また、この神経系の活性化は、ハエが分泌物の近くにいるときにのみ活性化されたという。

 加えて、この分泌物はオスとメス双方のハエに影響を及ぼすことも分かった。以上のことから、このフェロモンは求愛行動という社会的コミュニケーションのために活用されていることが判明したのである。

 なお研究の詳細は、Current Biologyのオンライン版に掲載されている。(藤沢文太)

関連キーワード理化学研究所(理研)遺伝子神経細胞

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