「グローサラント」は、リアル店舗を救う魅力を持っているのか?

2018年8月9日 17:13

小

中

大

印刷

成城石井「トリエ京王調布店」の「グローサラント」で提供される「フレッシュアボカドチーズバーガー」(画像: 成城石井)

成城石井「トリエ京王調布店」の「グローサラント」で提供される「フレッシュアボカドチーズバーガー」(画像: 成城石井)[写真拡大]

写真の拡大

 ネット通販のアマゾンによる猛攻が、日本の流通を変貌させてきたことに異論を持つ人は少ないだろう。そのアマゾンに対抗して、リアル店舗の雄であるイオンすらソフトバンク、ヤフーと組んでネット通販事業へ進出した。マーケットプレイスで先行する立場の楽天も、ウォルマート子会社の西友と共同で「楽天西友ネットスーパー」をスタートさせ、14日から始動する。コンビニのセブン&アイと通販のアスクルもスクラムを組んで生鮮食品の宅配を始めている。まさにネット店舗とリアル店舗が様々な思惑でコンビを組んで、ほとんど乱闘状態と言ってもいいだろう。

【こちらも】リアル店舗とネット店舗が融合してグループ形成、アマゾンの対抗軸は生まれるのか?

 しかし、ネット店舗がどうあがいてもリアル店舗に対応できない業態が、徐々に広がり始めている。

 食品スーパーの阪急オアシスは、JR大阪駅北側の商業施設「ルクア大阪」に「キッチン&マーケット」という新店舗を4月1日にオープンした。スーパーとレストランが融合した、ハイブリットスーパーとも言える「グローサラント」という新業態で、店頭に並ぶ食材がその場で調理されて提供される。

 "grocery(グローサリー)"と"restaurant(レストラン)"を組み合わせた造語である「グローサラント」は、名称だけでなく施設としてもスーパーマーケットとレストランが併設されて、店頭に並ぶ食材をその場で調理して提供してくれる。

 リアルタイムに調理してくれるという点で、「売り場に並んだ商品を店内で飲食する」イートインとは明らかに違う。

 購入したばかりの商品がその場で調理されてレストラン並みの料理として提供され、それぞれの売り場に設置されたレストランか、カフェのような座席で味わうことができる。店頭で販売されている肉でバーベキューをすることもできる。

 食品売り場では当然のように「試食」が行われているが、一口にも満たない少量を口にしても求不満が募るだけだった人もいるだろう。自分が買ったばかりの品を出来立ての状態で口にすれば、自宅用に買い増す決断に躊躇することは無くなる。気に入った料理であれば、同じ食材と調味料をその場で調達して、自宅のキッチンで復習できるのが「グローサラント」の最大のポイントで、ネット店舗ではどうやっても太刀打ちできないリアル店舗の独壇場だ。

 国内で最初に導入したのが昨年9月に開業した、成城石井(横浜市)の「トリエ京王調布店」(東京都調布市)だ。年代構成も若年からシニアまで幅広く、既に開業後の客数は100万人を超えた。案内板に使用食材を掲示し、レシピも用意している。

 イオンは広島市に「イオンスタイル西風新都」を4月にオープンし、物販と飲食のスペースを関連付けて配置した。寿司が食べられる鮮魚店のそばに鮮魚コーナーがあれば、食事から購入への循環が効果的に図られる。そんなブースが9つ設定され、合計280席の飲食スペースがあれば、食後に食材を購入する客が増加するのは当然とも思える。

 もともとショッピングは様々な商品の陳列を眺めて楽しむ一面を持っていた。食べる喜びが、購入する楽しみにつながれば、ネット通販への強力な対抗手段となることだろう。ここにリアル店舗復興のヒントが潜んでいるのかも知れない。(矢牧滋夫)

関連キーワード楽天Amazon.co.jpイオン(AEON)アスクル成城石井西友

「スーパー・コンビニ・百貨店」の写真ニュース

企業・産業の最新ニュース

RSS

もっと見る

主要ニュース

RSS

もっと見る

広告

財経アクセスランキング

広告

SNSツール

RSS

facebook

zaikeishimbun

いいね!

twitter

@zaikei_company

フォロー

google+

Hatena

広告

ピックアップ 注目ニュース