約15年ぶりに火星が地球に大接近 赤く輝く火星の写真を公開 国立天文台

2018年8月2日 22:02

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大接近時に国立天文台が公開した火星の画像 (C)国立天文台

大接近時に国立天文台が公開した火星の画像 (C)国立天文台[写真拡大]

 7月31日、2003年以来約15年ぶりに、火星が地球に大接近した。この大接近した火星の画像を、国立天文台は望遠鏡から撮影し、1日、公開した。赤く明るく輝く火星が、画像に映し出されている。

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 7月31日に起こった火星と地球との最接近では、2つの惑星間の距離は5,759万キロメートル。「大接近」と呼ばれる6,000万キロメートルよりも近い距離まで地球に接近した火星は、マイナス2.8等の明るさで輝き、肉眼でもはっきり確認できた。

●火星が地球に最接近するメカニズム

 火星と地球との最接近は、約2年2カ月ごとに繰り返す。地球と同じく、火星も太陽の周りを公転するため、火星を確認できる位置も星座内で変化する。火星の内側を公転する地球のほうが公転のスピードが速く、2つの惑星の周期は322日ほど異なる。

 約2年2カ月は、地球が火星の周期に追いつく期間に相当している。2つの惑星が最接近する距離は毎回異なるが、地球の軌道と比べると火星の軌道は少しつぶれた楕円形になっているのがその理由だ。

 次回火星が地球に最接近するのは、2020年10月6日だ。この時の距離は6,207万キロメートルと今回よりもやや遠いが、それでもマイナス2.6等の明るさで確認できる。

●今回撮影で使用された望遠鏡

 今回撮影に用いられた望遠鏡は、国立天文台の三鷹キャンパス内に設置された口径50センチほどの公開望遠鏡だ。一般市民のための定例天文観測会も1996年4月から定期的に開催している。国立天文台は、これまでにも、望遠鏡から撮影した火星の画像を公開してきた。

●2003年の大接近よりも火星が明るくなるのは269年後

 今回の大接近では、火星は22.6秒角の大きさで確認できた。これは、月の視直径の約76分の1の大きさだ。火星と地球との距離が6,000万キロメートルになる「大接近」は、約15年から17年の間隔で訪れる。

 前回地球に大接近した2003年には、今回よりも視直径の大きい25.1秒角で火星を観測できた。このときの大接近よりも2つの惑星が接近するのは2287年8月29日。地球と火星との距離は5,569万キロメートル、視直径は25.2秒角、明るさはマイナス2.9等になる。

 火星の明るさは、6月下旬から9月上旬ごろまでマイナス2等を超える。今回大接近した火星は、南西の方角のやぎ座といて座の中間に位置する。肉眼でも十分確認できるので、未見の人はぜひ確認されたい。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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