アンビション Research Memo(5):不動産テックのトップランナー。業務効率化と物件付加価値向上の両面で進捗

2018年7月20日 15:29

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記事提供元:フィスコ


*15:29JST アンビション Research Memo(5):不動産テックのトップランナー。業務効率化と物件付加価値向上の両面で進捗
■中長期の成長戦略・トピック

1. 不動産テックで自社業務を効率化
AMBITION<3300>は業界でもいち早く顧客対応においてチャットツールやAIを活用し、業務の効率化と顧客満足の向上に役立ててきた。今後は、(株)サイシード及び(株)コムデザインとの連携を強化し、チャットツールやAIツールの活用範囲を拡大し、機能を高度化する。具体的には、入居希望者だけでなく、入居者や不動産オーナーに拡大。電話オペレーターの対応からチャットへの移行や問い合わせ内容の引き継ぎなどが行えるようになる。

また、同社は2018年5月にRPAテクノロジーズとの業務提携を発表した。狙いは、自社業務の効率化にとどまらず、不動産業界向けのRPA事業への参入である。同社が持つ不動産業の現場のノウハウと、RPAテクノロジーズが持つRPA領域での豊富な知見を連携することで、人とロボットを組み合わせた新しいビジネスソリューションを生み出す計画だ。手始めに同社自体の業務をRPAで効率化する。特に同社は1万6千件を超える不動産管理業務を行っており、毎月発生する定型入力業務は膨大だ。将来的には、ソリューション(商品)を確立し、全国12万社以上ある不動産業界に提供し、業界の「働き方改革」に貢献したい考えだ。

2. 不動産テックで物件の付加価値を向上
同社が自社の管理物件に対して提供しているIoTサービスが「homepia」である。入居者はスマートフォンの専用アプリでエアコンやテレビなどの家電製品の制御やドア・窓の開閉を含めた室内環境の確認ができる。オプションでWebカメラから室内を伺うなどのセキュリティサービスも提供できる。入居が促進されるとともに、入居者の満足度の向上も期待できる。

子会社のヴェリタスが開発するデザイナーズマンションに関しては、IoT対応のスマートホーム化を進めるために、(株)アクセルラボとスマートリモコンを共同開発することを合意した。スマートリモコンシステムにより、エアコンや照明、給湯器などがスマートフォンで操作可能になり、遠隔操作はもちろん、異常感知も可能となる。スマートリモコンの主な機能は以下のとおり。

・スマートキー機能
・セキュリティアラート機能
・家電操作機能
・給湯器連動機能
・Webカメラみまもり機能


また、IoTサービスの前提として不可欠になるのがWi-Fi環境である。同社は、よりセキュリティが高く、端末フリーのアクセス環境を実現するために無線LANのセキュリティサービスを提供するナビックと資本業務提携を行った。ナビックは、安価なWi-Fiルーターを用いつつも、堅牢でかつ、設定などのユーザー負担が少ないネットワーク構築に優れている。今後、両社は共同して自社管理物件のIoT化を推進する。


■株主還元策

AMBITION<3300>は株主還元策として配当を実施している。配当の基本方針としては、成長のための投資と株主への適切な利益還元をバランス良く行う方針である。2015年6月期から3年連続で年5円を配当している。2018年6月期については、6月20日に大幅な増額修正予想を発表した。各利益が当初予想を大幅に上回ったことから、11.5円増配の16.5円に修正した。このような同社の株主への積極的な還元は、評価に値するだろう。なお、同社は2018年4月26日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っている。(本レポートでは株式分割後の数値に換算して表記)

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)《TN》

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