建設業界でロボット開発ラッシュ 積水ハウスは住宅施工のサービスロボット

2018年7月2日 08:03

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記事提供元:エコノミックニュース

積水ハウスとテムザックが開発中の天井石膏ボード施工ロボット「Carry」と「Shot」。施工技能者と協業して天井石膏ボードの張り付けを行う。

積水ハウスとテムザックが開発中の天井石膏ボード施工ロボット「Carry」と「Shot」。施工技能者と協業して天井石膏ボードの張り付けを行う。[写真拡大]

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 近年、建設業界でのロボット開発が過熱している。2016年8月には大成建設が、これまで難しいといわれてきた、すべての柱鉄骨の現場溶接を小型ロボットが行う自動化工法「T-irobo Welding」を発表して話題になった。今年3月には戸田建設が、超高層建築工事における施工プロセスに自動化技術やIoT技術と共にロボット技術を活用して飛躍的な生産性向上を目指すことを掲げ、清水建設も資材の水平搬送、鉄骨柱の溶接、天井ボードの張り付けを行う3種のロボットを今年9月から現場に投入していく予定だ。

【こちらも】大成建設と筑波大、床仕上げロボットを半自立制御可能に 自動運転化へ

 現場へのロボット導入は、大手ゼネコンの巨大な建設現場だけでなく、一般的な住宅の施工現場でも始まりつつある。住宅の施工現場においても労働者の人手不足は喫緊の課題になっている上、施工技能者の高齢化という難題も抱えており、人手を補うだけでなく、高齢者や女性の施工技能者の負担軽減という面でもロボットへ寄せる期待は大きい。

 そんな中、積水ハウスが滋賀県栗東市の中日本教育訓練センターで6月6日に報道陣向けに公開した施工ロボットの試作機「Carry」と「Shot」の2台は、まさにこれからの住宅施工現場を予見させるものだった。

 この2台のロボットは、積水ハウスとロボットメーカーのテムザックが共同で、施工技能者の上向き姿勢の作業負荷軽減と生産性の向上を目的に開発を進めて2020年の実用化を目指す。石膏ボードの天井への持ち上げとビス止めの一部を「Carry」が行い、「Shot」はビス止めで固定していく作業を担う。2台のロボットにはそれぞれAI(人工知能)が搭載されており、ロボット同士が自発的にコミュニケーションを取り合うことで、安全な距離を保ちながら連携して作業を進めていく。このロボットが工場の生産現場などに導入されている産業用ロボットと大きく異なるのは、レールやケーブルなど、ロボット本体以外の付帯設備を全く必要とせず、人と協調して同じ空間で働くサービスロボットに該当するということだ。住宅の施工現場は手狭で持ち込める機材の重量が限定されるため、機動力と小型化がロボットに必要な要素となる。1tを超える産業用ロボットがあるのに対して軽量で小回りが利き、無軌道での移動や作業をしながら自らの位置や施工ポイントの正確な計測と補正動作が行えることは、このサービスロボットの大きな利点だろう。

 同社はこれと並行して、住宅部材メーカーのダイドーと共同で、技術者の上向き作業をサポートするアシストスーツ「Ekso Vest」の改良品の開発も進めている。「Ekso Vest」はもともと米国企業が開発した上向き作業用アシストスーツだが、これを複合的な動作を伴う建設作業でも使いやすく、且つ日本人の小柄な体型にも対応するように改良を加えて、2018年12月に導入する。こちらはロボットとは異なり、「ガススプリング」を使用しているため全く電気を必要とせず環境にも優しく、充電も不要なため長時間使うことができる。また、モーターやケーブルも無いため身体的な負担も少なく、上半身に背負うだけで使用できるので、現場への投入も手軽だ。

 重い工具を持っての長時間にわたる上向き作業は重労働である。例えば石膏ボードの取り付けの場合、重いボード(17kg/枚)を天井へ持ち上げたり、それに約50本/枚のビスを打ち込んで固定したりする作業は、高齢者や女性の技能者はもちろん、体力のある若者でもつらい作業だ。ところが「Ekso Vest」を装着すると、腕を軽く上げるだけで状態を維持してくれるので、負担がかなり軽減される。

 積水ハウスでは、今回の施工ロボットやアシストスーツの開発にあたり、施工技能者の上向き作業の負担軽減の共通テーマに着眼し、作業者との協調作業も視野に入れている。まずはこれをテストケースに、将来的には現場の技術者が抱える様々な問題に対応、改善していくのではないだろうか。本格的に導入されれば、既存の技術者の負担が軽くなるだけでなく、過酷な仕事というイメージも払拭されるだろう。そうなれば、熟練工の就業延伸や女性をはじめとする新しい働き手の誘致にもつながる。近い将来、住宅の建築現場でベテラン技能者と共にロボットが働いている姿を普通に見ることができるかもしれない。(編集担当:藤原伊織)

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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。

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