欧米為替見通し:ドル・円は戻りの鈍い展開か、通商摩擦や独政局懸念などが重石

2018年6月18日 17:25

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記事提供元:フィスコ


*17:25JST 欧米為替見通し:ドル・円は戻りの鈍い展開か、通商摩擦や独政局懸念などが重石
18日の欧米外為市場では、ドル・円は戻りの鈍い展開を予想する。米中貿易摩擦や関西での地震を手がかりにドル売り・円買いが先行する見通し。110円台前半の押し目買いでドルの下落基調は弱まる可能性はあるが、ドイツの移民政策をめぐる政権内の対立は円売りを抑えそうだ。

米トランプ政権は前週末、中国の知的財産権侵害をめぐり7月6日から合計1000品目を超える中国製品に制裁的な関税を発動すると正式発表した。それに対し、中国政府は即座に報復措置を打ち出しており、両国の貿易摩擦激化は必至の情勢。米国は鉄鋼・アルミ製品の輸入制限に関しても欧州連合(EU)との関係も悪化しており、ドル・円やクロス円は米国の保護主義的な通商政策を嫌気した売りが出やすい。また、今朝の関西での大規模地震発生を受け、震災後に円高が進んだ過去の事例が想起され、円買いもある程度見込まれる。ただ、アジア市場では日経平均株価の大幅安を手がかりに、ドル・円は一時110円30銭まで弱含んだ後、国内勢の押し目買いによりいったん下げ止まった。

そうしたなか、今晩は中間派とみられるダドリーNY連銀総裁(18日付けで退任)やボスティック・アトランタ連銀総裁の見解が注目される。ボスティック氏は「経済と金融政策見通し」をテーマに講演する予定。これまでは追加利上げに比較的慎重な発言が目立つものの、連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げペースの加速が示されたばかりで、ドル売りには振れにくいだろう。一方、ドイツでは、メルケル首相とゼーホーファー内相が難民受け入れをめぐり対立が深刻化しているもよう。政権内の亀裂で連立体制が崩れ、今後政局が流動化する可能性からユーロは売られやすい見通し。ユーロ・円の下落を起点にクロス円が弱含む展開となれば、ドル・円の上値を抑えることになろう。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・21:45 ダドリーNY連銀総裁開会あいさつ(NY連銀主催会合)
・22:00 ダドリーNY連銀総裁が討論会参加
・23:00 米・6月NAHB住宅市場指数(予想:70、5月:70)
・02:00 ボスティック米アトランタ連銀総裁講演(経済と金融政策見通し)
・02:30 ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁あいさつ
・05:00 ウィリアムズ新NY連銀総裁閉会あいさつ《FA》

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