DEAR・L Research Memo(1):パルマの成長加速を目的に日本郵政グループと資本提携

2018年6月18日 16:36

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記事提供元:フィスコ


*16:36JST DEAR・L Research Memo(1):パルマの成長加速を目的に日本郵政グループと資本提携
■要約

ディア・ライフ<3245>は、都市型マンションの開発事業・収益不動産の投資事業などのリアルエステート事業を中核に、人材派遣事業及びセルフストレージ(トランクルーム等のレンタル収納スペース)ビジネス向けBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスを展開する企業グループである。2004年の会社設立以来、東京圏に特化した主に単身者・DINKS向けマンションの開発(リアルエステート事業)を主軸として急成長を遂げた。代表取締役社長の阿部幸広(あべゆきひろ)氏を始めとした専門性の高い人材の不動産目利き力が強みである。2007年8月、会社設立から3年弱で東証マザーズに上場。2015年8月には東証1部に昇格、その後も著しい成長をみせている。

1. 事業内容
同社の主力事業はリアルエステート事業であり、全社売上の79.5%(2018年9月期第2四半期)、全社営業利益の86.8%(同)を稼ぐ大黒柱である。そのビジネスモデルの特徴は、1)東京圏に特化している、2)1棟30戸~50戸程度の規模の単身者・DINKS向けマンションの開発を得意とする、3)1棟単位で不動産販売会社や事業法人・各種投資家層に売却し区分の販売を行わない、などであり、少数精鋭の人材(25名、2017年9月末)が年間売上高13,805百万円(2017年9月期)に達する事業を切り盛りし、資産効率及び生産性が高い。

2. 業績動向
2018年9月期第2四半期は、売上高が前期比2.2%減の4,949百万円、営業利益が同9.4%減の605百万円、経常利益が同4.5%減の612百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同7.3%減の392百万円と、減収減益ではあるが過去最高の業績だった前期に匹敵する業績となった。主力のリアルエステート事業では、好調だった前年から減収となったものの、採算の良い物件の売却が進み、セグメント利益では前年を上回った。セールスプロモーション事業においては不動産営業系の人材サービス案件を中心に受注が堅調。アウトソーシングサービス事業では、滞納保証付きBPOサービスの受託が好調に推移して増収となった。全体としては3事業とも堅調に推移し売上総利益は増加したが、要員増加による人件費増などにより販管費が増加し、営業利益は減益となった。同社の2018年9月期の業績予想へのインパクトとしては、非連結になることにより経常利益予想が2500百万円から2,270百万円に減少する一方で、譲渡益を計上することにより、当期純利益予想が1,650百万円から1,950百万円に上方修正された。

3. 成長戦略
同社では、開発プロジェクト用地及び収益不動産の仕入れを積極的に進めている。その成果として、土地で60~70億円、収益不動産で20~30億円、総事業費に換算すると約160億円分の仕入れに成功している。主な物件は東京23区に集中しており、公約どおり東京圏エリアに絞った厳選した仕入れとなっている。進行中の開発プロジェクトは25件であり、プロジェクト期間が2年~3年かかるため2018年9月期から2020年9月期までに順次竣工される予定だ。

成長戦略の遂行には物件取得が不可欠であり、そのための資金需要は拡大している。同社は、過去複数回にわたり公募増資を行い、借入金に過度に依存することなく資金調達を行ってきた。2017年3月に導入した新しい資本調達スキームは、第三者割当による行使価額修正条項付新株予約権(MSWT)を活用した増資スキームで、約15.7億円(400万株)の調達を達成した。この資本増強策が寄与し、自己資本比率は38.1%(2016年9月期末)から42.3%(2017年9月期末)に向上した。更なる資金需要に対応するために、今年も昨年同様の手法(MSWT)でエクイティファイナンスを実施する。割当先は昨年と同じくSMBC日興証券。行使可能期間は2018年3月7日からで、資金調達の予定額は約28.3億円(当初行使価額570円で算定)と増額された。巧みなエクイティファイナンスにより、同業と比較しても健全な財務構造が維持されている。

4. 株主還元策
同社は株主還元策として配当を実施している。配当の基本方針としては、財務体質強化と内部留保の確保を図る一方、株主への利益還元を重要な経営課題としており、配当性向40%を目指して配当を実施する。また、自社株式の取得に関しても、株価の推移や財務状況等を勘案し、機動的に行う方針である。2018年9月期は、期初予想は1株当たり配当金19円だったが、パルマの株式譲渡益によって当期純利益が増加するために配当金21円に上方修正された。配当性向の予想は40.0%で変わらない。

■Key Points
・東京圏・中小規模マンション・1棟売りに特化した効率的なビジネスモデル
・2018年9月期第2四半期は3事業とも堅調に推移、好調だった前年並みの業績
・25件の開発プロジェクトが進行中。総事業費160億円分の仕入れに成功
・パルマの成長加速を目的に日本郵政グループと資本提携
・機動的なエクイティファイナンス(MSWT)による資本増強

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)《TN》

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