刃物などの尖った物体も掴める柔軟ロボットハンド、東北大が開発

2018年6月15日 21:19

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開発されたロボットハンド。(画像:東北大学発表資料より)

開発されたロボットハンド。(画像:東北大学発表資料より)[写真拡大]

 東北大学の多田隈建二郎准教授、田所諭教授、昆陽雅司准教授、藤田政宏博士後期課程学生らのグループは、刃物などの尖った物体も含めて様々な複雑な形状の物体や脆弱な物体を掴むことのできる柔らかいロボットハンドを開発した。

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 主たる目的は災害現場で複雑な形状の瓦礫を運ぶためであるというが、その他工場などでの作業効率化や生産性の向上にも有効なのではないかという。

 本研究は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)タフ・ロボティクス・チャレンジの一環として行われたものである。

 見た感じとしては、人間の手には似ていないし原理も異なる。包み込むようにして掴む、という形である。ハンドの袋の素材には、柔軟な防刃生地が利用されている。それによって対切創性、耐久性、柔軟性をそれぞれ成立させ、掴む対象もハンド自身も傷つけることなく把持することを可能とするのだ。

 袋状のロボットハンドというものは過去にも開発されており、様々な形状の物体を掴むことはできたのだが、尖った物体を掴むと破損してしまうという問題点があった。今回のロボットハンドは、その欠点を克服したものである。

 従来はどうしていたかというと、例えば破損したバルブを開閉したり、瓦礫内のガラスの破片を動かさなければならなかったり、鉄筋の露出した鉄筋コンクリートを掴むときには、それぞれ対象物に合わせてハンドを別のものに付け替えていたという。

 そこで、従来品に用いられていたゴム膜を伸縮性のある防刃生地に代えたことで、作業効率を大幅に高める今回の開発品を作り出すことに成功したのである。

 なお、本成果は6月14日、福島ロボットテストフィールドで開かれた「ImPACT タフ・ロボティクス・チャレンジフィールド評価会」において、実機によるデモンストレーションが行われた。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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