欧米為替見通し:ドル・円は下げ渋りか、ECB緩和縮小協議もFRB利上げ加速などで

2018年6月14日 17:25

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記事提供元:フィスコ


*17:25JST 欧米為替見通し:ドル・円は下げ渋りか、ECB緩和縮小協議もFRB利上げ加速などで
14日の欧米外為市場では、ドル・円は下げ渋る展開を予想する。今晩の欧州中央銀行(ECB)理事会で資産買い入れプログラムの縮小について議論されるとみられ、ユーロ・ドルの上昇でドルに下押し圧力がかかる見通し。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペース引き上げや日銀の緩和政策維持への観測からドル売り・円買いは小幅にとどまりそうだ。

12-13日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)で、FRBは政策金利の引き上げを決め、今年の利上げに関してあと2回(計4回)との見通しを示した。それを受け、米10年債利回りは一時的に3%を超え、ドル・円は一時110円85銭まで強含んだ。一方で、パウエルFRB議長は会見で、政策金利は目標としている水準に比較的早期に達するとの見解を述べた。今月1日に発表された5月雇用統計でも、非正規の雇用者を含めたU6失業率が記録的な低水準となり、すそ野の広い消費が景気をさらに押し上げそうだ。ただ、そのため、来年以降は利上げペースが緩やかになるとの観測もあり、NY市場終盤は利益確定のドル売りが優勢となった。

今晩開催のECB理事会で、市場の観測通り資産買い入れプログラムの縮小について議論されれば、今後は引き締め方向に政策を進めるとの思惑からユーロ・ドルの買いが強まり、ドル・円をやや圧迫する見通し。ただ、足元で発表されたユーロ圏の経済指標は低調なものも目立ち、ドラギECB総裁は会見でユーロ高をけん制する可能性もある。また、今晩発表となる米国の5月小売売上高は堅調な内容が予想され、景気拡大の継続を好感したドル買いが入りやすい。加えて、日銀は14-15日に行う金融政策決定会合で異次元緩和を維持する公算であり、円買いにも動きづらいだろう。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・17:30 英・5月小売売上高(自動車燃料含む)(前月比予想:+0.5%、4月:+1.6%)
・20:45 欧州中央銀行(ECB)が政策金利発表(主要政策金利0.00%に据え置き予想)
・21:30 ドラギECB総裁会見
・21:30 米・5月小売売上高(前月比予想:+0.4%、4月:+0.2%←+0.3%)
・21:30 米・先週分新規失業保険申請件数(予想:22.3万件、前回:22.2万件)
・21:30 米・5月輸入物価指数(前月比予想:+0.5%、4月:+0.3%)
・23:00 米・4月企業在庫(前月比予想:+0.3%、3月:0.0%)《FA》

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