加熱式たばこの分煙容認 東京五輪での施行目指す

2018年6月14日 09:15

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記事提供元:エコノミックニュース

京都は2018年6月5日、受動喫煙防止条例を発表した。東京都の条例案では従業員がいる飲食店すべてで専用の喫煙専用室以外での喫煙が禁止される。しかし加熱式たばこに関しては、一時的な措置として専用の喫煙席があれば飲食・歓談しながらの喫煙が可能とした。

京都は2018年6月5日、受動喫煙防止条例を発表した。東京都の条例案では従業員がいる飲食店すべてで専用の喫煙専用室以外での喫煙が禁止される。しかし加熱式たばこに関しては、一時的な措置として専用の喫煙席があれば飲食・歓談しながらの喫煙が可能とした。[写真拡大]

 喫煙者にとってはさらなる悲報になるだろうか。東京都は2018年6月5日、受動喫煙防止条例を発表した。従業員を雇っている飲食店では原則全面禁煙とし、煙が遮断できる喫煙専用室を設置している飲食店のみ、そこでの喫煙が可能になる。ただしこれは紙巻きたばこに限定されており、電子たばこのうち加熱式たばこに関しては、当分の間専用の喫煙席を設けることで飲食をしながらの喫煙が可能になる。

 厚生労働省も18年1月に健康増進法改正原案を示したが、東京都の条例案はさらに厳しい内容だ。国が規模の大きい飲食店を原則禁煙としているのに対し、東京都の条例案では従業員がいる飲食店すべてで専用の喫煙専用室以外での喫煙が禁止される。従業員のいる店舗は東京都内の84パーセントに上り、ほとんどの店舗で原則禁煙となる。加えて保育所や幼稚園、小中学校、高校でも国の基準では屋外の喫煙場所の設置が可能なのに対し、東京都の条例案では屋外であっても喫煙所の設置はできなくなる。

 東京都がここまで厳しい条例案を出す理由が20年に予定されている東京オリンピックだ。国際オリンピック委員会(IOC)は世界保健機関(WHO)との合意により、五輪から煙草を排除する努力を重ねてきた。その結果現在では五輪開催都市の飲食店やホテルが屋内全面禁煙になることが珍しくなくなったのだ。国の基準では面積が100平方メートル以下かつ個人または5000万円以下の資本金の事業者は例外とされていたが、東京都の条例案では従業員がいる飲食店すべてが対象となることでより実効性を高めたうえで、20年の東京オリンピックまでに段階的に施行したい考えだ。

 しかし加熱式たばこに関しては、一時的な措置として専用の喫煙席があれば飲食・歓談しながらの喫煙が可能とした。東京都の受動喫煙防止条例案が受動喫煙の健康被害を未然に防止することを目的としているのに対し、加熱式たばこでは受動喫煙の健康被害が科学的に証明されていないことがその理由だ。加熱式たばこがほとんど副流煙を出さないということも考慮された。ただし20年のオリンピック以降加熱式たばこを含めた全面禁煙になるかは不透明だ。受動喫煙防止条例によって、喫煙専用室を作れない飲食店に対する経済的な打撃が心配される中、加熱式たばこが将来的に禁止されるかどうかが注目される。(編集担当:久保田雄城)

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